下戸の由来、知ってますか?お酒に弱い人でも楽しめる飲み方も紹介
お酒を飲めなかったり、弱い人を「下戸(げこ)」と言いますが、その言葉の正確な意味や由来はご存知でしょうか?
この記事では下戸という表現について解説しながら、お酒が体質的に弱い、もっと飲みたいけれど量は飲めない、という方へ、無理をせず、美味しくお酒を楽しむための飲み方をご紹介します。
下戸の意味
下戸(げこ)とは「お酒をまったく飲めない人」もしくは「多少は飲めても弱く、ごく少量だけの人」のことを指す言葉です。
アルコールを受け付けない体質を持っている人のことをいい、味の好みや、お酒を控えなくてはならない病気、宗教上などの理由でお酒を口にしない人のことは、下戸とは呼びません。あくまでも体がお酒を受け付けないような人です。
下戸の由来
下戸の由来をご存知でしょうか。
この言葉の歴史は古く、おおよそ1300年前に制定された大宝律令が由来となっています。この制度では、一家に青年が何人いるかで家柄の階級が決められていました。
そのうち、最上級の家を「大戸(たいこ)」次いで「上戸(じょうご)」「中戸(ちゅうこ)」そして最下級の階層の家は「下戸(げこ)」と呼ばれていました。
この階級に従って、飲んでもよい酒の量も決められていたことが、この言葉の発端です。
最下級階層である下戸の家は、許可された酒の量が少なかったために、後に「酒の飲めない人」という意味に転じていったのです。
同様に婚礼の際にもらえる酒の量も決まっていたために、当時の庶民には、階級と酒の量は比例し深い関連のあるものでした。
日本酒の歴史は、このような日本人の文化の歴史でもあるわけです。
下戸の反対語は「大戸」「上戸」
下戸の語源となる酒の飲めない家柄の階層の「下戸」に対して、酒豪にまつわる言葉といえば「上戸」があります。すでに紹介のとおり、酒の量の多い家柄は「大戸」「上戸」と呼ばれていました。
そのうち「上戸」という言葉だけが今も残っています。「笑い上戸」や「泣き上戸」といった言葉がそれであり、お酒の場では自然と口にするくらいに、私たちの生活に浸透しています。
右党と左党とは?
右党や左党という言葉は、あまり馴染みのない人も多いかもしれません。右党(うとう)は下戸のことを、左党(さとう)は酒豪のことを指す言葉です。
江戸時代に、大工が左手にノミという道具を持って作業したことから、左手のことを「ノミ手」と呼んでいました。これは響きの同じ「飲み手」に転じていき、言葉遊びやダジャレとして「左党」を「大酒飲み」という意味で使うようになったのです。同じ意味で「左利き」とも言われています。
対する右手は、槌(つち)という道具を持つ手として「槌手」と呼ばれていましたが、こちらは反対の意味である「酒の飲めない下戸」と同じ意味として「右利き」と言うようになりました。
また、武士は盃を左手に持って飲んだことから「左利き」を「酒飲み」という意味で使ったという説もあります。こうした日本独特の風習や文化がルーツとなった言葉として、現代にも息づいています。
下戸の人でも楽しめる日本酒の飲み方
日本酒は好きだけれど体質的に弱い、もっと飲みたいけれど量は飲めない、という方へ、無理をせず、美味しく日本酒を楽しむための飲み方をご紹介します。低アルコールの日本酒
日本酒の中でも、アルコール度数の少ないものが販売されています。通常の日本酒はアルコール度数が15%程度ですが、低アルコールでは6%程度の日本酒も販売されています。ビールやチューハイなどと近い感覚でしょう。
またノンアルコールのお酒もあります。飲み会や食事会などで雰囲気を壊さずに飲めるとして人気があります。ノンアルコールではありますが、日本酒好きの人と同じような感覚でお酒の美味しさを楽しむことができる飲み物です。
下戸の人はアルコールを分解するときに発生するアセトアルデヒドが分解できなかったり、分解スピードが遅かったりする体質です。
ノンアルコールのお酒は、このような体質であっても、二日酔いになりにくく酔い過ぎないお酒であり、上戸の人と一緒に楽しむことができるのが人気の理由でしょう。
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和らぎ水を飲みましょう
和らぎ水とは、お酒の合間に飲む水のこと。アルコールを分解するためには水分が必要です。しかし日本酒は飲み口がよく、思った以上に飲んでしまうことがあります。
また、グラスやお猪口が小さく、飲んだ量が分からなくなるために、飲み過ぎてしまうことも。
いつの間にか水分不足になっており、そのために悪酔いすることがあるのです。体調不良を避け美味しく楽しむためにも、アルコールの合間に和らぎ水を飲んでおくことをおすすめします。
水は、アルコールを薄めることで次の日にも残りにくくなり、二日酔いになりにくい効果があります。また利尿作用や、アルコールの分解に体の水分が取られることから、睡眠中や翌日の脱水を招く原因にも。この脱水を防ぐ効果があるのです。
さらに口腔内をさっぱりさせ、食事中のお酒の量を調整することもできます。様々な効果が期待できますので、お酒と同じくらいの水分量の摂取がおすすめです。
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日本酒を割って飲む
日本酒は割って飲んでも美味しく楽しめるお酒です。下戸でも飲みやすく、酔い過ぎないカクテルで、オシャレなひとときを演出してみては?
1.炭酸水やトニックウォーターで割る
ハイボールやスパークリングのように、日本酒を爽やかに飲むことができるカクテルです。炭酸や香りづけがさっぱりした味わいに。トニックウォーターのような風味のある炭酸水を使うことで、様々な香りも楽しめるでしょう。
2.ロックやお湯割りに
冬はほっと温まるお湯割りという飲み方も。アルコール量を減らし、飲みやすい濃度に調整できるだけでなく、身体を温める作用もあります。寒い時期にはぴったりです。
3.乳酸菌飲料で割る
マッコリのような乳製品特有のまろやかさが人気の、乳酸菌飲料割り。本来の味わいであるコクや、まろやかな味わいがデザートのようになり、意外とファンの多いカクテルです。ただし日本酒の風味を和らげ、お酒が少ないように感じることも。つい「もっともっと」と入れ過ぎて悪酔いしないよう気を付けましょう。
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4.緑茶やウーロン茶で割る
お茶で割るなんて意外という方も少なくありませんが、日本酒と同僚の緑茶を注ぐだけでできるとても簡単なカクテルです。冷えたグラスに氷を入れるのがポイント。後からガムシロップを入れ、好みの味にする人もいます。さっぱりとしたお茶の風味が人気の飲み物です。
5.ライムジュースで割る
日本酒のライムジュース割りは「サムライ・ロック」と呼ばれるカクテルです。特に日本好きの外国人に人気があります。
ライムジュースの甘酸っぱさが日本酒の風味を弱めるため、程よい加減で割りましょう。また、お酒とは思えない飲み口の良さがありますので、飲みすぎ注意のカクテルです。
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おつまみと一緒に楽しむ
アルコールの分解を助ける食品をおつまみとしてとることで、下戸の人でも調整しながら飲むことができます。
油もの・揚げ物 油っぽいおつまみは、胃に油膜を張るように作用し、アルコールの吸収を和らげる作用があります。お酒にも合うので、先に少し食べておくのもよいでしょう。
枝豆・豆腐 アルコールの分解にはたんぱく質が必要です。おつまみとしても王道の枝豆や冷ややっこは、たんぱく質が豊富でヘルシーなおつまみの代表格。一緒に食べることでアルコールの吸収を和らげてくれます。
キャベツ 消化に時間がかかる野菜類は、アルコールの分解をゆるやかにする作用があります。中でもキャベツなら、サラダやお通しとしても人気なので、メニューにあるお店も多いでしょう。先に食べてゆっくりお酒を味わいましょう。
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まとめ
下戸の人は、顔が真っ赤になったり、気分が悪くなったりして、お酒の席で苦労することも多いでしょう。ですが日本酒の飲み方や、酔い過ぎないおつまみの情報を調べておき、自分なりの楽しみ方を探してみるのもよさそうです。そしてくれぐれも無理せず、楽しめる範囲で工夫をしてみましょう。
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SYULIP編集部
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