お酒の適量とは?1日あたりの推奨量を知って健康にお酒を楽しもう!

「お酒はほどほどに」「適量を守りましょう」。

こんな言葉をよく耳にしますが、果たして「ほどほど」「適量」とはどれくらいなのでしょうか。体重や性別、もともとのアルコールの分解能力の違いによって、適量にはかなりの個人差があります。

まずは、それぞれのお酒に含まれるアルコールの量と、自分の適量を把握しておきましょう。アルコールを適量に抑える工夫やポイントもお伝えします!

推奨される1日のお酒の量とは?

お酒の適量は一般的にはどのくらいなのでしょうか?

1日あたり20gのアルコール量に抑えよう

厚生労働省は、節度ある適切な飲酒を「1日平均 純アルコールで約20g程度」としています。

純アルコール20gと聞いても、パッと思い浮かぶ人はそう多くないのではないでしょうか。

「アルコール量」とは?

お酒 アルコール度

お酒のラベルやパッケージには、含まれるアルコール度数が記されています。この度数は、体積に占める割合(%)を意味します。また一般に、純アルコール量はグラム(g)で表されます。

含まれるアルコールの量を計算してみよう

アルコール度数とお酒の容量がわかれば、以下の計算式で純アルコール量を計算できます。

お酒の摂取量(ml) × 度数または% / 100 × 比重(0.8) = 純アルコール量(g)

例えば、アルコール5%のビールで計算してみましょう。 アルコール5%ということは「100ml中に純アルコールが5ml含まれている」ということです。

計算式に当てはめると、

500(mL) × 0.05 × 0.8 = 20(g)

5%のビールの中瓶またはロング缶1本500mlに含まれる純アルコール量は20gです。

つまり、1日あたりの適量が20gということは、ビール中瓶1本に当てはまります。

また最近は酒造メーカーでも、ホームページでビール類や缶チューハイの純アルコール量をグラム表記で開示する取り組みが始まっています。

栄養成分一覧から確認できるので、飲む銘柄が決まっている場合は調べてみるのもいいかもしれません。

お酒の種類ごとの適量を知ろう

お酒 種類 ご存じのように、お酒ごとにアルコール度数(%)は異なります。つまり、同じ量を飲んでもアルコールが含まれる量が違うので、酔い方も違ってきます。

では、それぞれのお酒に含まれるアルコール量を見ていきましょう。

醸造酒:日本酒、ビール、ワインなど

日本酒やビール、ワインは一般に「醸造酒」と呼ばれるお酒。蒸留をせず、米や麦などの穀物や果実(ぶどう等)などを発酵させて造ったお酒という点が特長です。

アルコール度数は5~15%、おおむね20%以下です。

▼醸造酒とは?くわしくはこちら
醸造酒とは?3種類の醸造酒を知ってますか?蒸留酒や混成酒との違いも解説します!

お酒の種類 ビール (中瓶500ml) 1本分 日本酒 (1合180ml) 徳利1合分 ワイン (1杯100ml) 2杯分
アルコール度数 5% 15% 12%
純アルコール量 20g 21.6g 23g


純アルコール20gとは、ビールでいうと中瓶1本、日本酒1合、ワインは2杯と数えやすいですね。

蒸留酒:焼酎、ウイスキー、ジンなど

蒸留酒とは、その名の通り醸造酒を蒸留して作るお酒のこと。蒸留酒は、醸造酒を加熱し、その蒸気を冷やして液体にします。そのため、醸造酒に比べアルコール度数が高いのが特長です。蒸留酒のアルコール度数は高いもので40〜60%にもなります。

▼蒸留酒とは?詳しくはこちら
蒸留酒とは?代表的な5種類の紹介と醸造酒との違いも解説!

お酒の種類 ウイスキー・ブランデー (ダブル60ml) 焼酎(25度) (100ml)
アルコール度数 43% 25%
純アルコール量 20.6g 20g


ご覧の通りアルコール度数が高いので、少量でも純アルコール量が多くなります。

蒸留酒はそのまま飲む以外にも、水やソーダなどで割って飲むことでゆっくり楽しめます。

この2つは守ろう!お酒の正しい楽しみかた

では、適量を守って正しくお酒を楽しむにはどうしたら良いのでしょうか?

ドライバーはもちろん飲酒NGですし、妊娠中・授乳中や運動前、薬と一緒に飲むのはいけない…といった大前提を踏まえたうえで、特に守りたい2つのポイントがこちらです。

食事と一緒に楽しむ

お酒 適度に楽しむ すきっ腹に飲むと酔っぱらうと言われますよね。アルコールは胃を通じて95%が小腸で吸収されます。小腸には絨毛(じゅうもう)という突起のようなものがあるため、表面積が非常に大きく、食べたもの・飲んだものを吸収しやすいのです。

そのため、アルコールが胃にとどまる時間を少しでも長くし、小腸に送る時間を遅らせることで、小腸でのアルコールの吸収を和らげることができます。アルコールの血中濃度の急激な上昇を抑えるためにも、食事と一緒にお酒を飲むのが効果的です。

酔いを防ぐのに効果的な食品としては、キャベツ。ビタミンUを多く含み、胃の粘膜を保護するムチンを増やしてくれます。

また、胃に残りやすい油分を含む食品もおすすめです。ポテトサラダや揚げ物、チーズなどは胃に残りやすく、アルコールが直接吸収されるのを防ぐ効果が。お店でお酒を注文したときに出されるお通しも、ぜひ一緒に味わってくださいね。

同量以上の水を飲みながら

やわらぎ水 日本酒や焼酎、ウイスキーのロックを頼むと「和らぎ水」や「チェイサー」として水を出されることも多いかと思います。このお水、実は非常に大事。アルコールの分解には水が必要なため、脱水症状になりやすくなるのです。ビール1Lあたり1.1Lほどの水が使われるといわれています。

つまり、最低でもお酒と同量以上のお水は飲んだほうが安心。一口飲んだら和らぎ水、と決めておけば、必然的に飲むスピードも緩やかになり、ゆっくりお酒を楽しむことにも繋がります。

お店で一緒に出してくれない場合もありますが、気をつかわずに「お水をください」と店員さんに伝えてみましょう。

▼和らぎ水を飲みながら上手にお酒と付き合いましょう
和らぎ(やわらぎ)水とは?日本酒と上手に付き合う3つの効果を解説!

適量を守れば「酒は百薬の長」って本当?

お酒 適度に楽しむ お酒を飲む方は聞いたことがあるであろう「酒は百薬の長」という言葉。「適量の酒はどんな良薬よりも効果がある」という意味のことわざです。

お酒には緊張をほぐしたり血行を良くしたりする効果があるため、古くからそう言われてきました。

ただもちろん、それは適量を守ったうえでのこと。 これまでの疫学研究から、虚血性心疾患・脳梗塞・Ⅱ型糖尿病などに関しては非飲酒者に比べ少量飲酒者のリスクが低い(※1)という結果が出ています。

また、平均アルコール消費量と死亡率の関係を見ると、男女とも1日平均19gまでの飲酒者の死亡のリスクは非飲酒者よりも低い(※1)という研究結果もあります。

一方で、少量の飲酒でも高血圧やがんに関してはリスクが上がる(※1)というデータもあるので、すべての方にとって「酒は百薬の長」とは言えません。

ご自身の持病や体調、アルコール分解能力を第一に楽しみましょう。

アルコールを適量に抑える2つのポイント

ワインに含まれるポリフェノールの健康効果や、日本酒のアミノ酸による美肌効果など適量の飲酒は身体に嬉しい効果も期待できます。

ただ健康にお酒を楽しむには、摂取量を適量に抑えることが大切。

そのために意識したい点をお伝えします。

お酒を飲まない「休肝日」をつくろう

休肝日 厚生労働省は飲酒のガイドラインとして、週2日お酒を飲まず、肝臓を休める「休肝日」を推奨しています。

アルコール依存症の予防に繋がるほか、アルコールによる死亡リスクを下げることに繋がるためです。

休肝日がない人(週5~7日飲む人)は、ある人(週1~4日飲む人)に比べて1.8倍死亡リスクが高いと言われています。(※2)

健康面はもちろん、休肝日を設けることで、翌日のお酒がよりおいしく感じられるというメリットも。アルコールを摂らないことで食べたものをしっかり代謝でき、ダイエットにも効果があります。

また、2日以上続けて休肝日をつくるほうが、健康への効果が高いとも言われています。予定を考えて、2日間我慢してお酒を飲むお酒のおいしさは格別ですね。

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アルコール量を抑える飲み方

先ほど醸造酒はそのまま、蒸留酒はそのままもしくは割って飲む、と述べました。そうはいっても、楽しみ方はさまざま。

ワインを炭酸水で割った「スプリッツァー」、ビールをジンジャーエールで割った「シャンディガフ」などのカクテルは、単純にアルコールの摂取量が減るため、ゆっくりと適量を楽しむことに繋がります。

さらに最近は日本酒カクテルや氷を入れたロックなどの飲み方アレンジも増えてきています。

お酒は「こう飲まなければいけない」というものではありません。 自分の好きな楽しみ方で味わうことが、結果健康的に長くアルコールと付き合うことにも繋がるのです。

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適量を知ってお酒と健康に付き合おう

1日あたりのアルコール量や休肝日などを紹介しましたが、あくまでもこれは目安。

体重が軽いため、男性よりも女性のほうがアルコール量が少ない方がもちろんいいですし 日本人より欧米人のほうが酒に強い体質と言われるように、人によってアルコールの分解能力もさまざま。

特に顔がすぐに赤くなる方、持病がある方は、数字にとらわれないことが重要です。

どの程度の度数のお酒で、自分がどんな状態になるかを知っておくのも、適量を守ることに繋がります。 それぞれ自分の適量と体調を考えて、楽しく健康にお酒を楽しめますように!

<参考文献>
「酒好き医師が教える最高の飲み方」日経BP社(2017)葉石かおり・著
※1 飲酒とJカーブ(e-ヘルスネットより)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html
※2 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ.
飲酒パターンと総死亡との関連について https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/299.html

Profile

石川 奈津紀

仙台市出身でNHK山形、NHK仙台でキャスターを務めたのち2018年から東京でフリーアナウンサーとして活動。 現在はBSテレビ東京の朝の番組「日経モーニングプラスFT」に出演中。 日本酒を健康的に楽しみ、飲みながら痩せる「NOMIYASE」をSNSを中心に発信している。唎酒師。ダイエットプロフェッショナルアドバイザー。

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