醸造酒とは?3種類の醸造酒を知ってますか?蒸留酒や混成酒との違いも解説します!
普段私達が飲んでいるお酒は醸造酒、蒸留酒、混成酒に分けられ、それぞれ異なる製法で造られています。
ビール、ワイン、日本酒などは「醸造酒」と呼ばれるお酒です。そして、醸造酒は3つの種類に分けられます。では醸造酒とは一体どんなお酒かご存じでしょうか?
この記事では、醸造酒についての解説、その他のお酒との違い、そして代表的な醸造酒を紹介します。
醸造酒とは?
はじめに、醸造酒(じょうぞうしゅ)はどのようなお酒か解説していきます。まず、醸造酒を辞書で引いてみることにしましょう。醸造酒とは穀類や果実を原料とし、これを発酵させてつくった酒。日本酒・ビール・ぶどう酒など。蒸留などの作業を経ずに、基本的にアルコール発酵させたままの状態で飲まれるものをいう。※ぶどう酒=ワイン
ここで抑えておきたいポイントは、蒸留をせず、米や麦などの穀物や果実(ぶどう等)などを発酵させて造ったお酒という点です。
代表的な5つの醸造酒
ここでは、代表的な5つの醸造酒と原料を紹介します。普段飲んでいるお酒は醸造酒?どんな原料を使っているのでしょうか?ひとつずつ確認していきましょう。
1. ビール
日本で最も消費量の多いアルコール「ビール」は醸造酒に該当します。ビールの主な原料は麦芽とホップと水です。最近ではクラフトビールも人気ですね!
2. 日本酒
日本特有の製法で醸造される「日本酒」も醸造酒です。日本酒の主な原料は米、米麹、水です。
日本だけでなく海外でも日本酒が製造されていますが、日本国内で製造された米を使用し、日本国内で製造されたものだけが「日本酒」と名乗ることができます。
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3. ワイン
海外で製造が盛んな「ワイン」も醸造酒です。ワインの主な原料はぶどうの果汁です。日本では山梨、長野、北海道が主な生産地です。GIとよばれる地域のブランドを保護する制度が浸透し、日本産のワインが注目されてきています。
>>関連記事:日本酒のGI(地理的表示)ってなに?GIを学ぼう!
4. シードル
コンビニやスーパーでも見かける機会が増えてきた「シードル」も醸造酒です。シードルとはリンゴを発酵させて造られるお酒です。
5. マッコリ
韓国のお酒といえば「マッコリ」ですね!マッコリも日本酒と同じく米が主な原料ですが、それ以外にも、ジャガイモやサツマイモ、トウモロコシなどの穀物を使うこともあります。
3種類の醸造酒
つづいては、醸造酒についてより詳しく解説していきます。
醸造酒は、大きく分けると、単発酵酒と複発酵酒の2つ、さらに複発酵酒は、単行複発酵酒と並行複発酵酒に分けられます。
それでは一つずつ確認していきましょう。
内容を理解するための1つ目のポイントは、お酒の原料となるモノに糖分が多く含まれているかどうか。
2つ目のポイントとは、原料に糖分が含まれていない場合、その原料を糖化する作業が必要になってきます。
そして①糖化の工程の後に発酵させるか、②それとも糖化と発酵を同時に進行するかで、製造方法が変わってきます。
単発酵酒「ワインやシードル」
単発酵酒とは、原料が糖分を多く含み、酵母を加えることで、そのままアルコール発酵したお酒のことです。糖分を多く含んだ果実の中でも、ぶどうやりんごをベースとした単発酵酒は、ワイン(ぶどう)やシードル(りんご)になります。
単行複発酵酒「ビール」
単行複発酵酒とは、原料に含まれるデンプンを糖分に糖化させ、そのあとに酵母を加えてアルコール発酵させたお酒のことです。
「糖化」した後に「発酵」する、2つの工程を理解しましょう。
単行複発酵酒の代表的なアルコールは「ビール」です。ビールの原料は麦ですが、麦の糖分はぶどうやりんごのように多くの糖分を含んでなく、そのまま発酵させるには少なすぎます。
そのため、まずはデンプンを酵素で糖に糖化させて、麦汁に酵母を加えてアルコール発酵させます。
並行複発酵酒「日本酒」
並行複発酵酒とは、『糖化』と『発酵』2つの工程を、1つのタンクで同時に進行し出来上がったお酒のことです。そして並行複発酵酒の代表的なアルコールは「日本酒」です。
日本酒の製造方法は、原料である「米」の主成分「デンプン」を麹の酵素で糖化します。そして酵母を加えてアルコール発酵させます。この工程を同時に進行させる製造方法のため「並行複発酵」と呼ばれるのです。
醸造酒はそのまま飲むことが一般的ですが「日本酒」をさまざまなアレンジ方法で試してみるのも面白いです。ご自身にとっての最高の一杯をぜひ探してみて下さい。
>>関連記事:日本酒を割ると美味しい?王道から奇抜な飲み方を試してみました!
日本酒の種類について
日本酒は大きなお酒の分類では「醸造酒」に該当しますが、原料やお酒の作り方によって、さらに分類が細かく別れます。
そして日本酒は、普通酒と特定名称酒(プレミアムな日本酒)に分けられます。
お酒の好きな方であれば、本醸造酒、純米酒、大吟醸酒など聞いたことがあるのではないでしょうか?
特定名称酒は8種類に分類され、「精米歩合(お米を削る割合)」と「吟醸造りをしているか」「醸造アルコールを添加しているか」によって分類されています。下記が特定名称酒をまとめた一覧です。
特定名称 | 精米歩合 | 醸造アルコール | 吟醸づくり |
---|---|---|---|
純米酒 | 規定なし | ||
本醸造酒 | 70%以下 | ✔ | |
特別本醸造酒 | 60%以下 | ✔ | |
特別純米酒 | 60%以下 | ||
吟醸酒 | 60%以下 | ✔ | ✔ |
純米吟醸酒 | 60%以下 | ✔ | |
大吟醸酒 | 50%以下 | ✔ | ✔ |
純米大吟醸酒 | 50%以下 | ✔ |
特定名称酒の一覧
>>関連記事:純米酒とは?本醸造や吟醸酒との違いは?純米酒の種類や定義を解説
蒸留酒と混成酒とは?
私達が普段飲んでいるお酒は醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに分類されます。ここからは蒸留酒と混成酒について解説していきます。
蒸留酒とは「醸造酒」を蒸留したお酒
蒸留酒(じょうりゅうしゅ)とは、醸造酒を蒸留して作るお酒のことです。蒸留酒の作り方は、醸造酒を加熱し、その蒸気を冷やして液体にする製法です。そのため、蒸留酒は醸造酒よりもアルコール度数が高くなります。醸造酒のアルコール度数は5〜15度程度ですが、蒸留酒は40度〜60度です。
醸造酒である、ビールや日本酒などはそのまま飲みますが、蒸留酒はそのまま飲む場合もあれば、お水やソーダなど、ノンアルコール飲料で割って飲むのも一般的です。蒸留しているため、味わいはコクや深みがあるお酒が多いのも特徴の一つです。
蒸留酒は熟成によるお酒の変化や歴史を楽しめるお酒です。
代表的な蒸留酒は?
ここからは代表的な蒸留酒を紹介します。- ウイスキー:ホップなしのビールを蒸留したお酒
- ブランデー:ワインを蒸留したお酒
- 米焼酎:日本酒を蒸留したお酒。
この他にも泡盛や焼酎、ウォッカ、テキーラなども蒸留酒です。最近流行りのジンも蒸留酒で、ソーダで割ると華やかな香りを感じながら、爽やかな喉越しも楽しむことができます。
混成酒とは?
最後に紹介するお酒は混成酒です。混成酒とは蒸留酒や醸造酒に、糖分、薬草、果実などを加えたお酒です。カクテルで使用するリキュールや、果実酒・梅酒・薬酒などが混成酒に該当します。
混成酒も蒸留酒と同じく、そのまま飲むこともあれば、何かで割って飲むのが一般的です。
代表的な混成酒は?
ここからは代表的な混成酒を紹介します。- 梅酒:梅を砂糖と蒸留酒または醸造酒に漬け込んで造られる日本生まれの混成酒です。日本で人気のあるお酒です。
>>関連記事:梅酒に合うおつまみは?5種類の飲み方に合うおつまみやレシピの紹介
- カルーア:日本でも人気のカルーアは、焙煎したコーヒー豆とサトウキビの蒸留酒をベースに造られた酒です。その後にバニラやカラメルを混ぜ合わせるため、コーヒーの風味とコクのある甘味が特徴です。
混成酒の代表格であるカルーアは牛乳で割って飲むのが一般的です。カルーアだけでなく、梅酒やクライナーなど、他のお酒も牛乳で割って飲むと意外と美味しいですよ。
>>関連記事:牛乳割りの美味しいお酒ベスト5!一番美味しい割り方を色々試してみました!
醸造酒のまとめ
この記事では、代表的な5つの醸造酒の紹介と、3種類の醸造酒を解説しました。また蒸留酒や混成酒といった、その他のお酒との違いや製造方法も説明しました。
最後にこの記事のまとめを紹介します。
- お酒は醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに分類されます。
- 醸造酒とは、穀類や果実を原料とし、発酵させてつくったお酒です。
- 代表的な醸造酒はビール、ワイン、日本酒などです。
- 醸造酒は、「単発酵酒(ワイン)」、「単行複発酵酒(ビール)」、「並行複発酵酒(日本酒)」に分けられます。
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