日本酒と料理酒の違いって何だろう?代用できる?料理とお酒の「美味しい関係」
和食・洋食・中華など…料理をする時に欠かせない「料理酒」ですが、“日本酒とはどう違うんだろう”と疑問に思ったことはないでしょうか?
調べてみると、同じ「酒」でも原材料や料理における効果などに違いがあることが分かってきました!
日本酒好きな私ではありますが、飲みきれずに残ってしまったものが我が家にはちらほら…。
同じような状況の皆さんに朗報です。日本酒と料理酒の違いを知って、日本酒を飲むだけでなく、料理にも代用していきましょう!
「日本酒」とは?
米と米麹を原料としてつくられた、飲んで楽しむためのお酒です。中には、醸造アルコールが添加されているものもありますが、それ以外の調味料などが添加されることはありません。お米本来の香りや風味を味わえるのが日本酒です。
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「料理酒」とは?
米と米麹のほか、食塩などを原料としてつくられた醸造調味料です。商品によっては、甘味料として水あめが入っていたり、クエン酸などが添加されている場合もあります。
飲んで楽しむものではなく、食品の一部という位置づけなので、厳密には「お酒」ではありません。酒税法のうえでも、米と米麹以外のものが添加され、“不可飲処理”されているということで、日本酒とは異なる扱いとなっています。
日本酒を料理酒の代わりとして使える?
結論からいうと、日本酒を料理酒の代わりとして使うことは可能です!料理のレシピに書いてある「料理酒」と同じ量の日本酒を入れてOKです。
日本酒は、お米由来のコハク酸やグルタミン酸などの旨味成分を多く含んでいます。なので、料理に使うとそのおかげで料理そのものの旨味とコクもアップします。
ただし、日本酒なら何でもよいかというと、そうではありません。おすすめは「純米酒」です!吟醸酒や本醸造酒はすっきりとした味わいで飲んで楽しむのには向いているのですが、料理の味を引き立たせるという目的で使用するには、米の旨味がしっかりと感じられる純米酒のほうが向いています。
次の項目で、料理に日本酒を使う場合と料理酒を使う場合の違いをみていきましょう!
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日本酒と料理酒の違いは?
つづいては、日本酒と料理酒を料理に使うと、どのような作用があるのか紹介していきます。日本酒を料理に使うと…
お肉やお魚が柔らかくなる
日本酒のアルコール分が、食材のタンパク質の繊維の中に入り込み、ある程度の水分を保った状態をキープしてくれます。
それにより、調理で加熱したとしても、水分がしっかり中に閉じ込められているので、パサつく心配がありません。また、日本酒に含まれるアルコールによって、加熱時間が減るというメリットもあります。アルコールの沸点は78度ほどと低めなので、食材に火が通りやすくなるというわけです。
食材に味が染み込みやすくなる
アルコール成分はとても小さな分子なので、料理に使う一般的な調味料(砂糖・塩・お酢・しょうゆ・味噌)よりも早く食材に浸透していきます。
浸透していく時に、ほかの調味料も一緒に染み込んでいくため、お酒を使わない時よりも、使った時のほうが食材に味を含ませやすいということなのです。また、料理酒と違って塩分が添加されていないため、より食材に浸透していきやすいそうですよ。
添加物が気になる人も安心
先ほどもご紹介したとおり、日本酒の原材料は米と米麹のみです。それ以外の添加物は一切入っていないので、とてもシンプルな調味料になるということですね。
そのため、塩分を控えたい方、自分好みでだしを効かせるなどの細やかな味付けをしたい方、体の健康のために食品添加物を控えたいという方におすすめです。アルコールをしっかりと飛ばさないと料理の風味にも影響が出てきてしまうので、その点はお気をつけくださいね。
料理酒を料理に使うと…
お肉やお魚の臭みが消える
加熱調理によって料理酒のアルコール分が揮発する際、お肉やお魚がまとっている臭みやドリップなども一緒に飛んでいくので、仕上がった料理に臭みはなく、美味しい出来となります。また、料理酒に含まれている有機酸には消臭効果もあるので、臭みを消したいお料理にはぜひ料理酒を使ってみてください!簡単に味を整えやすい
料理酒には、米や米麹のほか、食塩や甘味料など様々な調味成分が加えられているというお話をしました。ということは、あまり料理が得意ではない方や、あれこれ使わずパパッと美味しいものを作りたいという方には、日本酒よりも料理酒のほうがおすすめです。
日本酒にはない“雑味”があるため、料理の味に複雑さや奥行きが出て、旨味アップが期待できますよ。
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日本酒を使うとよい料理とは?
素材の味を活かしたシンプルな料理がおすすめです。 貝やお魚の酒蒸しなど、調味料を多く使わない料理には日本酒を使うとよいでしょう。
糖類やアミノ酸が加熱されることによって、上品な香りがうまれるので、ワンランクアップな料理に仕上がります!また、煮付けなどもおすすめで、煮崩れのしにくさ、味の染み込みやすさという点では日本酒を使っていただくとよいと思います。
料理酒を使うシーンとは?
炒め物など、塩分が必要な料理は料理酒を使いましょう。 単一な素材ではなく、何種類かの食材を組み合わせて完成させる料理や、コクや深い味わいを表現したい料理には、料理酒が大活躍です!
料理酒にも様々な種類があるので、購入する前にどんな成分が入っているかチェックしてから、用途に合ったものを使ってくださいね。
日本酒以外にもオススメのお酒
ビール
・ビール酵母がお肉の旨味成分を引き出す
・炭酸によってお肉がふっくらと柔らかくなる
・お肉やお魚の臭みを消しつつ、麦芽の香りがほんのり残る
・天ぷらや唐揚げなどの生地に入れると、サクッと揚がる
ワイン
・酸味や渋味が料理の甘みを抑え、味を引き締める
・ぶどうの香りや熟成香が料理に深みを与える
・白ワインの場合は、フルーティーすぎない辛口タイプがおすすめ
・赤ワインの場合は、トマトソースなど色や旨味の濃いものとベストマッチ
みりん
・「本みりん」であればアルコールを含んでいるので代用可能
・甘味だけでなく苦味成分も入っているので深い味わいに仕上がる
・塩やお酢の角をとって、まろやかな味になる
・照りツヤ、コクを出したい料理におすすめ
余った日本酒で料理をつくってみました!
◎あさりの酒蒸しの作り方
あさり・・・200g
日本酒・・・大さじ1
白だし・・・少々
小ねぎ・・・適量
1)あさりの砂抜きをします。まずは塩水をつくり、その中に片栗粉を入れます。(あさりが片栗粉を吸って、身がふっくらになるそうです!)塩水の量としては、あさりの頭が少し出るくらいで大丈夫です。
暗い場所で3時間以上放置して、しっかり砂を抜きましょう。シンプルだからこそ、下処理がとても大事なお料理です!砂抜きをしたら、あさり同士をこすり合わせて洗います。 2)あさりを鍋に入れて、白だしと日本酒をふりかけ、中火で3〜4分くらい蒸していきます。あさりの口がパカッと開いたらOK!器にうつして小ねぎを散らしたら完成です。
Profile
いさわゆか
出身は宮城県仙台市、現在は東京都で暮らしています。飲食業への転職をキッカケに日本酒の勉強を始めました。日本酒の味わいはとても幅があって、どんどん世界が広がりますね。一緒にお気に入りのお酒を見つけていきましょう!