甘酒は太る?ダイエットとの関連性を徹底調査しました!
飲む点滴とも言われ、栄養価が高く、甘くておいしい甘酒。その健康効果や美容効果に注目が高まり、最近はお正月にお参りで飲むだけでなく、スーパーに並ぶのもよく見かけるようになりました。
”甘い”という文字から、なんとなく「甘酒は太る」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。でも、決してそんなことはありません!
そこで今回は、ダイエットプロフェッショナルアドバイザーの観点から甘酒が太ると言われるゆえんや、実際にどんな栄養が含まれ、健康効果があるのかを見ていきます!
甘酒の種類と特徴
甘酒は、大きく2種類に分けられます。米麹を使った「米麹甘酒」と、酒粕を使った「酒粕甘酒」があるんです。それぞれの違いを見ていきましょう。
米麹甘酒はノンアルコール&砂糖不使用
米麹に水を加え、55~60度程度で加熱してつくられたもの。酵素の働きで、お米本来の旨味と甘みが味わえます。そのため、基本的に砂糖を使わずにつくられているのが特長。
酒粕甘酒はアルコール入り
原料は酒粕、つまり日本酒を造る課程でもろみを搾ったあとに残るものです。酒粕にはアルコールが含まれますが、酒粕由来のしっかりした香りが特長。その酒粕をお湯と砂糖で飲みやすくしたものが酒粕甘酒です。
このように、酒粕には大きく分けて2種類あります。アルコールに弱いかたや、ドライバー、妊婦、授乳中のかたは米麹の甘酒を選ぶようにしてみてください。
甘酒の違いについて、くわしくはこちらの記事にまとめています。簡単に作ることができるので、ぜひこちらの記事を参考に作ってみてください。
>>関連記事:2種類の甘酒の解説!ノンアル?アルコール入り?妊婦や運転手は飲んでも大丈夫?
「甘酒は太る」って本当?
甘酒のカロリーや糖質、栄養素はどうなっているのでしょうか。太ると言われる原因や、気になるダイエット効果について詳しく見ていきます。
甘酒の気になるカロリーや糖質は?
甘酒は100gあたり76kcal。成分を見ると、たんぱく質が1.7g、脂質が0.1g、炭水化物が18.3g(うち糖質17.9g、食物繊維0.4g)です。甘い飲み物のリンゴジュースと、糖分が多いイメージの炭酸飲料であるサイダーとの比較がこちらです。100gあたりのカロリー | 炭水化物 | たんぱく質 | 脂質 | |
甘酒 | 76kcal | 18.3 | 1.7 | 0.1 |
りんごジュース(ストレート) | 43kcal | 11.8 | 0.2 | 0.1 |
サイダー | 41kcal | 10.2 | - | - |
※記載できない微量は「-」にて表記(文科省 食品成分データベースより作成)
甘酒は栄養たっぷりの米麹からできているため、糖質が多いですが、一方で脂質はほとんど含まれていません。また、表にないビタミンやミネラルを含む栄養をたっぷり含んでいます。ジュースなどと比較するとカロリーは高いですが、手軽にエネルギーをチャージできる飲み物と言えます。
甘酒に含まれる栄養素
ビタミンB群も豊富でアミノ酸の働きが期待できることから、様々な健康効果が見込まれ「飲む点滴」「スーパーフード」などとも呼ばれる甘酒。注目してほしいのは、カロリーよりもその栄養です。
ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸などが含まれますが、ビタミンB群はエネルギーをスムーズに代謝するのに欠かせない栄養素です。
さらに、甘酒には必須アミノ酸と呼ばれる9種のアミノ酸がすべて入っているのもポイント。わたしたち人間の身体はタンパク質、さらに細分化するとアミノ酸からつくられていて、そのうち体内で生成することができないアミノ酸が甘酒に含まれているのです。甘酒が「飲む点滴」と言われるほど栄養豊富なことがわかります。
甘酒では太らない!
栄養価が高い甘酒。「健康に良いから」という理由で飲みすぎれば、もちろん太ります。
しかし過去の研究結果から、健康な人が麹甘酒を一日摂取目安量の3倍、つまり過剰に摂取しても、副作用は見られず、体重や体脂肪率、BMIに関しても有意な変動は見られなかったという結果が出ています。(※1)
つまり、普段の栄養素を補う目的で摂取することで、健康効果が期待できるのです。
甘酒のダイエット効果
先に述べた研究では体重や体脂肪率、BMIに有意な変化は見られなかったということですが、じつは適量の甘酒はダイエットの味方なんです。
大手酒造メーカーによる研究では、マウスを使った実験で、甘酒には体重増加抑制の効果があるという結果がでています。(※2-1)
実験終了時には、体重増加量だけでなく、血清中性脂肪の濃度、腹腔内白色脂肪組織の蓄積が抑制されていたのです。
甘酒には肥満や体重増加に対する機能性もあるということがわかります。(※2-1)
また、酵素ダイエットという言葉を聞いたことがあるかもしれません。甘酒にも「リパーゼ」という酵素が含まれ、脂肪を分解する働きがあるといわれているのです。
詳しい研究成果について:月桂冠総合研究所HPより
太る原因は?甘酒の上手な取り入れかた
甘酒は、おやつがわりや朝食がわりにうまくとりいれるのがおすすめ。特に朝は、睡眠中に身体が代謝し、エネルギーを欲している状態。起きて活動するための活力として、摂取したエネルギーが使われやすいのです。
甘酒に含まれるブドウ糖には、消化を助ける働きや血糖値をあげる働きがあります。すると、満腹中枢が刺激され、少量の甘酒で満腹感を得ることができます。ブドウ糖は脳にも良いので仕事や勉強前にもいいでしょう。食事前の小腹が空いたときや、朝食にとるのが効果的です。
そのまま飲む以外にも、料理に砂糖のかわりとして使うという方法もあります。甘酒にはお肉やお魚を柔らかくする効果があり、ふっくらジューシーに仕上がります。
また、実は甘酒の季語は夏。これから暑くなる時期、手軽に栄養素が補える冷やし甘酒も夏バテ対策にぴったりです。
こちらでおすすめアレンジレシピをご紹介しています。
>>関連記事:酒粕は美容と健康の素!酒粕を使って簡単甘酒&スイーツを作りましょう
ほかにもこんなに!”飲む点滴”甘酒の美容&健康効果
お通じの改善
甘酒はオリゴ糖が含まれ、便通改善効果が期待できます。
麹甘酒の1か月飲用で便通改善効果があり、下剤の服用率が低下したという報告(週4.36回→6.07回)や(※1)、
大手食品メーカー森永製菓HPによると、軽度便秘症の成人女性を対象に、酒粕と米麹両方を原料に使用した甘酒を1日1本1カ月間摂取してもらい、便通に及ぼす効果を検証したところ、1日の排便回数、排便量、便の状態、排便後の感覚を向上させることが確認されたという実験結果もあります。(※3)
ストレス軽減&リラックス効果
八海山の麹甘酒(機能性表示食品)には、精神ストレスの軽減やリラックス効果のある「GABA」が含まれています。
GABAとは植物や私たちの体内にも存在する天然アミノ酸で、正式名称は「γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)」。GABAにはデスクワークに伴う短時間の精神ストレスの軽減、およびリラックス作用、血圧が高めの人の血圧を下げる機能が報告されています。
キメが整う!美肌効果
月桂冠総合研究所と神戸女学院大学との共同研究によると、麹甘酒を4週間継続して飲んだ場合、腕・首のキメが整う結果となり、水分蒸散量が抑えられ肌の状態が良好になる効用があると確認されています。
飲む量としては100gよりも200gのほうが効果が高く、継続して飲むことにより美肌への効用が期待できるという報告があります。(※2-2)
ほかにも甘酒には、健忘症抑制や血圧上昇抑制といった嬉しい健康効果も報告されています。(※2ー1)
飲んで健康に!甘酒のすすめ
いかがでしたか?甘酒はうまく取り入れることで、太らないどころか、ダイエットの助けになるだけでなく、健康や美容効果も期待できる、うれしい飲み物なんです。
これだけ栄養満点で機能性の高い甘酒、日常に取り入れない訳にはいきません。
今回は米麹甘酒と酒粕甘酒について詳しく見てきましたが、果物風の甘酒も販売されています。
間食代わりにそのまま飲む、料理に使う、デザートにする…と楽しみかたが多い甘酒ですが、私は甘酒を休肝日のおともにしています。「飲む美容液」とも言われる甘酒で、身体の中から健康になっていきましょう。
(参考文献・サイト)
※1 倉橋 敦(2019)「麴甘酒の成分・機能性・安全性 」生物工学 第97巻 第4号
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9704/9704_tokushu_5.pdf
※2 月桂冠総合研究所
ー1 https://www.gekkeikan.co.jp/RD/health/health05/
-2 https://www.gekkeikan.co.jp/RD/health/amazake01/
※3 森永 健康機能の研究成果 甘酒
https://www.morinaga.co.jp/company/healthcare/amazake.html
Profile
石川 奈津紀
仙台市出身でNHK山形、NHK仙台でキャスターを務めたのち2018年から東京でフリーアナウンサーとして活動。 現在はBSテレビ東京の朝の番組「日経モーニングプラスFT」に出演中。 日本酒を健康的に楽しみ、飲みながら痩せる「NOMIYASE」をSNSを中心に発信している。唎酒師。ダイエットプロフェッショナルアドバイザー。