日本酒の賞味期限&開封後の日本酒の保存方法は?3つのポイントでわかりやすく解説します!
今回ご紹介する「日本酒のあれこれ」は、ズバリ!日本酒の賞味期限と保存方法について。
日本酒やワインは、焼酎やウィスキーに比べ品質が変化しやすいアルコールに分類され、保存方法を間違えると全然違う味や香りになってしまいます。
保存方法について少し意識するだけで、購入した日本酒を最後まで美味しく楽しむことができますよ。
それでは日本酒の賞味期限と保存方法について学んでいきましょう!
今回3つのテーマで、日本酒の賞味期限、保存方法について解説しています。
1. 日本酒の賞味期限について
2. 開封後の日本酒の楽しみ方について
3. 日本酒の保存方法について
結論:日本酒に賞味期限はない
CODEX(食品の国際規格)によると、アルコール度数10%の飲料やワインなどについては、賞味期限の表示を求めてはならないとし、お酒類については各種表示を省略できることになっています。
表示を省略できる項目
- 保存の方法
- 消費期限または賞味期限
- 栄養成分の量および熱量
ただし、日本酒は未開封・開封どちらの状態なのかや、保存方法によっては香りや味が変化しやすいため適切な保存方法を学ぶ必要があります。
日本酒の賞味期限の考え方について
日本酒はアルコール度数15%前後が一般的であり、栓を開封しなければ腐敗することはまず無いと考えられています。
ただし、時間経過による変化(熟成による香味の変化)は必ず起こります。
賞味期限が過ぎたオレンジジュースや牛乳を摂取すると体調を崩してしまいますが、そういった一般的な飲料と違い、日本酒はそのような健康に影響は無いという考えです。
熟成が長期間になるにつれ日本酒の色合いは、「3年から5年だと透明から黄色」へ、「5年から10年だと黄色から黄土色」へ、「10年から30年だと黄土色から朱色」へと変化していきます。
色合いに関しては注目しておきましょう。
日本酒の製造年月について
日本酒の瓶のラベルには上記画像のように日付が記載されているものがあります。このラベルの場合、2020年(令和2年)12月15日に瓶詰めしたという内容です。
日本酒の製造年月と賞味期限を混同する方もいらっしゃると思います。
製造年月とは日本酒を瓶に詰めた日で、賞味期限ではありません。この点は日本酒のラベルの特徴として注意が必要です。
なぜ製造年月を記載するのかというと、酒類の中でも清酒に関しては「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」によって製造時期の表示が定められているということが理由です。
この法律の中に「清酒の製法品質表示基準」というものがあり、清酒の製造した時期を年月で表示するよう義務付けられています。
また、製造した時期はお酒を仕込んだ時期ではなく、瓶詰めをした年月日を指しています。
賞味期限についてのまとめ
- 日本酒には賞味期限がない
- 適切な保管で日本酒を熟成させ楽しむことができる
- 日本酒の製造年月と賞味期限を混同しないように注意
開封後の日本酒を楽しむ最適な期間とは?
日本酒の賞味期限については先程紹介しましたが、こちらでは栓を開封後の日本酒の楽しみ方を解説していきます。
開封後に日本酒ってどれくらいもつの?
開封後の日本酒がどれくらいもつかは、保存している環境に大きく影響を受けます。
例えば開封後、常温で放置しておくと季節によっては3週間ほどで味わいがとても酸っぱくなり、日本酒の品質を極端に下げてしまいます。
そのため、開封後の日本酒は紫外線、熱、酸化を考慮して保存しましょう。
開封後3〜5日で味わいや香りが変化してきます
適切な環境で保存していることが条件ですが、開封後3〜5日で日本酒の味わいや香りの変化を楽しむことができます。
開封直後に尖った味わいの日本酒は、空気との接触により「まろやか」な味わいになるといわれています。
私たちも日本酒を購入した後に、開封直後から約1週間かけて味の変化を楽しんだりしています。
▼日本酒の香りに関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。
>> 日本酒から”いい香り”がする理由。成分や種類、表現の仕方も紹介
開封後3週間を目安に日本酒を飲みましょう
日本酒専門の冷蔵庫や冷暗所などを使った場合、3週間以上保存し熟成した日本酒の味わいを楽しんで飲めますが、一般的にはそのような保管庫を持っていない家庭が多いと思います。
そのため、開封後約3週間程度で日本酒を飲みきってしまうのが、基本的に美味しく日本酒を楽しめる期間といえるでしょう。
味や香りが変化しやすい日本酒について
スパークリング日本酒
若者や女性に人気のスパークリング日本酒は、開封後数時間から1日程度で香味が変化してきます。
そのため他の日本酒と違い、比較的にできるだけ早く消費することが望ましいです。
生酒について
通常日本酒を製造する工程で、味わいの劣化を防ぐために火入れ(加熱処理)を行います。
火入れは通常2回行い瓶詰めしますが、この加熱処理を一切行わない日本酒を「生酒」と呼び、フレッシュな味わいがとても人気です。
しかし加熱処理をしていないため、かなり状態が変化しやすく、開封後はなるべく早めに消費することが望ましいです。
▼「生酒」について美味しい飲み方や保存方法などこちらの記事で詳しく解説しています。
>> 日本酒の生酒とは?5つのポイントを解説!おいしい飲み方や保存方法を学ぼう!
開封後の日本酒の楽しみ方のまとめ
- 適切な状態で保存しないと香りや味が劣化する
- 3〜5日で香味の変化を楽しむことができる
- 開封後3週間を目安に日本酒を飲むのが理想
- スパークリング日本酒と生酒は開封後すぐに消費するのが望ましい
保存する際に避けるべき3つの事
日本酒は非常にデリケートなお酒のため、保存方法については正しい知識と最新の注意が必要になります。
特に気をつけたい3つのポイントが、「紫外線」、「熱」、「空気接触(酸化)」です。
避けたいポイント①〜紫外線〜
紫外線は日本酒の「色合い」と「香味」に大きく影響します。
また、紫外線が強い夏場だけでなく、年間を通じて紫外線が遮断している環境で保存するのがベストです。日光が当たる場所は避けましょう。
ただし光が必要な場合は、LEDや白熱球を使用するのが望ましいです。
紫外線の影響を数時間受けると、日本酒は黄色化または茶色化し、「日光臭」と呼ばれる劣化したニオイが生じます。
日光臭は焦げ臭や獣臭と呼ばれる、焦げたような臭気を発生させます。
避けたいポイント②〜熱〜
日本酒を20℃〜25℃以上で保存すると、熱の影響によって黄色化または茶色化し、「老香」と呼ばれる劣化したニオイが生じます。
保存状況は、最高でも15℃以下、理想では5℃〜10℃と言われています。また温度変化も少ない環境が望ましいです。冷暗所があればベストですね。
特に、日本酒ジャンルの中で「フルーティータイプ」と「爽やかタイプ」は熱の影響を受けやすいので、低い温度での保存が理想的です。
避けたいポイント③〜空気接触・酸化〜
日本酒が空気(酸素)と接触することで、成分が変化することを酸化と呼びます。
酸化の例として、りんごはカットした後にそのままにしておくと、茶色に変色してきますよね。
これは、りんごに含まれるポリフェノールが、空気に触れることで酸化し、変色してしまうためです。
りんごが酸化するイメージ図
日本酒の種類によって変化は異なる
酸化による変化は、日本酒の香りや味わいによって異なります。
例えば飲み口が粗く感じられる新酒などは、酸化の効果によって「まろやか」な味わいに変化する場合があります。
逆に日本酒が酸素と結合することで、不快な臭みが生じたりするケースもあります。
そのため、空気接触や酸化による変化は一長一短であり、ここでは気をつけたいポイントをお伝えいたします。
①フルーティーな日本酒の管理
香り豊かなフルーティーな日本酒は、空気と接触することで香りが揮発しやすくなるため注意が必要です。
②日本酒の残量が少ないと酸化速度は速まる
日本酒の瓶内に残っている残量が少ないほど、空気と接触する機会が増え酸化速度が早まります。
そのため、小さい瓶に移し替えたり、空気を脱気することで酸化速度を遅らせる事が可能です。
日本酒の保存方法のまとめ
- 紫外線を遮断し、光源が必要な場合はLEDか白熱球を用いる
- 保存場所の温度は、5℃〜10℃が理想で、最高でも15℃以下の環境
- 空気接触や酸化により日本酒の香味が変化することを理解する
日本酒ライフに適切な保存は必須
日本酒の賞味期限と保存方法に関する特集いかがでしたか?
保存方法を少し気にすることで、味わいや香りに与えるさまざまな変化を意図的に楽しめ、新たな日本酒の魅力や楽しみ方と出会えるかも知れません。
「日本酒のあれこれ」特集では日本酒に関する疑問点を中心に、わかりやすい解説をこれからもお届けしてまいります。
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