お酒の席での「お酌のマナー」知ってますか?気持ちよく過ごすコミュニケーション
「飲みニケーション」という言葉があるように、お酒を飲む場はコミュニケーションの場です。
そこでお互いが気持ちよく過ごすために、お酒にもマナーがあります。お酒のマナーをマスターして、さらに心地よいお酒の席を作りましょう。
お酌のマナー「お酒を注ぐ、受ける」
受ける時も断る時も、気分よくスマートにやり取りするのが基本です。流れも大切にしましょう。
お酌をする時
お酌のマナーが難しいと思っている若い人もいますが、基本はコミュニケーションですから、笑顔で、相手の無理にならないようにお酒をすすめることが大切です。
お酒の正しい作法や手順よりも、心がこもっているかどうかが大事であると心に留めておきましょう。 「何か飲まれますか?」「もう一杯いかがですか?」という気遣いを忘れずに。
もしあなたが目上の相手にお酒を注ぐ立場であれば、いつ注ぎ足すかを気配りしましょう。しかし、何かを気にしているとゆっくり飲めないと感じるかもしれません。ですが、もてなす側には、その場その場によっておもてなしのやり方があるのだと理解して対応しましょう。
最近では、お酌禁止の会社もあります。お酌をさせることをハラスメント扱いとしているところも少なくないことから、相手が誰であっても強要は禁止です。 そして、お酒のマナーは国によっても大きく違います。海外でのマナーや、外国の相手に対して同じではないことを知っておきましょう。
お酌の受け方
自分のグラスや盃が空になったタイミングでもてなす側に声をかけられたら、遠慮せずいただいても問題ありません。
日本酒のお猪口は持ち上げる、ビールならグラスを傾けたりするなど、気配りをしながらいただきましょう。ここでも双方のコミュニケーションであることを忘れずに。 もしもう要らない場合は、断っても問題ありません。その場合は、手でグラスに蓋をするようなしぐさで「もう結構です」と伝えましょう。
飲む量で無理をする必要はありません。口をつけずにたくさん残すよりも、残らない程度の量で終えるのがスマートです。 おちょこなど伏せて置けば「ストップ」という意味になりますが、ビールやワインなら、このようにスマートに断ります。また、手酌でいいと伝えるのもよいとされています。
お酌のマナー「タイミング」
お酒の席でもてなす相手に違和感なく過ごしてもらうには、お酌のタイミングも大事です。スムーズに過ごせるような気配りを心がけましょう。
上座から回る
お酒の席では、上司や目上の人が上座に着くのがセオリー。もてなす側になった場合は下座の自分の席から上席へ出向き、相手の目の前に置かれたお酒を注ぎに行きます。これがお酌です。目下の人が多い席では、上座へ出向く他の人と被ってしまうと、すでにグラスがいっぱいでお酌しきれないこともあるでしょう。
またグラスを空けるために相手を急がせてしまいますので、お酌は相手のよいタイミングを見計らっていきましょう。 お酌をするときは上座から下座へ順に回っていくルールですが、上記のように基本的には手ぶらで出向くのがマナーです。自分のお酒のボトルを持ち歩き、席から席へ注ぎ歩くのはマナー違反だとされています。よくある間違いなので気を付けましょう。
グラスが空になったら?
上座をもてなす側なら、相手のグラスが空になりそうなタイミングを見計らって気配りしておきましょう。空になったところで「いかがですか」の一声をかけ、次のお酒を注ぐか決めます。 何も言わず急に注いだりしないようにしましょう。
お店なら相手に代わって次のお酒を注文しておくのもよいでしょう。ですがその場合も必ず相手にOKをもらうことです。近年ではお酒を強要しないよう、特にこのように言われています。
お酌のマナー「日本酒」
日本酒の注ぎ方、受け方
日本酒を注ぐ時は、徳利の中央のあたりを真上から右手でつかみ、下部に左手を添えて持ちます。両手で挟み込むように持って注ぐようにします。
徳利の首を持たないようにし、腹の部分を持つと安定します。お猪口の8分目まで注ぐようにしましょう。 お酌を受ける時は、両手を添えてお猪口を持ちます。注がれたらすぐにテーブルに置かずに、必ずひと口つけるようにします。
その際、このひと口目は「味と香りを楽しむため」であることを忘れずに、小さめにしておきましょう。 続けて「味わうため」のふた口目をいただきます。ふた口目はひと口目よりやや多く飲みます。お猪口のお酒は「少量、中くらいの量、少量」というリズムで飲めればよく、一気飲みしないのがマナーです。
お酌を受けるときは、お猪口を置いたまま注いでもらう「置き注ぎ」はマナー違反とされます。必ず両手でお猪口持ちましょう。これは注ぐ側であっても気をつけます。
ここで気をつけたいことは、
- お酌するときは片手でしないこと
- 徳利を下から持たないこと、これを「逆手」「逆さ注ぎ」という。ビールと逆なので間違えないように注意
- 徳利を覗いたり倒したりしない
- お猪口をぶつけての乾杯はしない。お猪口は軽く持ち上げるだけにする
- 注いでいただく時は、置き注ぎはせず必ず持つ
お酌のマナー「ビール」
ビールの注ぎ方、受け方
ビールを注ぐ時は、右手を上から、左手を下から回しビンを持ちます。ラベルを上にし、ラベルの真ん中より下部を手で挟むように持つと上手く安定します。
炭酸であるビールは勢いよく注ぐと泡が立って溢れてしまいます。泡がグラスの3割程度になるまではゆっくり注ぎ、それ以降は勢いをつけて注ぎましょう。
受ける時は、グラスを傾けなくても問題ありません。傾けるとしても自然な角度でよく、こぼさないよう注意します。グラスは右手で持ち、左手を底に添えるとうまく安定します。乾杯する時は目上の人のグラスよりもやや下にして、軽くグラスを合わせるようにしましょう。
ここで気をつけたいことは、
- グラスを高々と上げない
- 注ぐときに泡が多くならないよう注意
お酌のマナー「ワイン」
ワインの注ぎ方、受け方
ワインを注ぐ時は、片手でビンの底を持つようにします。ラベルを上にしてビン全体を見せるように持つのが基本です。
注ぐ量は、ワイングラスの三分の一程度にしましょう。大量に入れてしまうと、飲む人が色を楽しむためにグラスを傾けることができなくなってしまいます。他のお酒に比べてワインのビンは重く、片手では難しく感じますが、注ぐ時にグラスのふちに触れないように気を付けましょう。
受けるときは、自分のワイングラスに触れないのがマナーです。グラスの中腹を持ってしまうのはワインを知らないと名乗るようなもの。もし触れるのなら、グラスの脚に指を添えて抑える程度にしておきましょう。
注がれたらグラスを軽く回してワインを空気に触れさせ、香りを楽しみます。 ワインを注ぎ足す時は、レストランなら給仕がおこなうため、自分ではおこなわないのがマナーです。
もし自分たちで行う場合は、やり方がフランス式かイギリス式かによって異なります。フランス式では、相手が飲み切る前に注ぎ足すように気を配ります。
イギリス式なら、完全に飲み切ってから注ぐようにします。 ワインは種類や味によって、飲み切ってから注いだほうがよりよい場合があり、マナーはその場で変更してもよいとされます。特に白ワインは風味が混ざらないよう、注ぎ足すより飲み切ってからのほうがよいともいわれていますので、ワインの特徴に合わせて楽しみましょう。
ここで気をつけたいことは、
- 注ぐ時にラベルを下にしない
- 注ぐ時は、手で覆うように持たない。手の熱で温めてしまうため
- 受ける時は、グラスを大きく持たない。手の熱で味が変化してしまうため
- 乾杯の時は、グラスをカチンと合わせない。グラスは高価なものが多く、そっと上げるだけにする
- ワインの知識をしゃべりすぎて相手を退屈させないように
お酒のマナーのまとめ
自分がマナーを習得することで、さらにその場が楽しくなり、心地よくなると思えば、あれこれ難しく考えるよりも楽しむことが大事だと分かります。マナーはお互いに気持ちよく過ごすためにあるものです。これが守られるよう気配りをしましょう。
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SYULIP編集部
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