【熟成酒のペアリング】花嵐 純米大吟醸 2004BY × トンポーロー
みなさんこんにちは!熟成酒のペアリングシリーズも8回目となりました。今回は、熟成酒とのペアリングでは鉄板の組み合わせである中国料理とのペアリングを紹介していきます。
そして、今回の日本酒は個人的に大好きな滋賀県の吉田酒造のお酒です。このペアリングシリーズでは初めてとなる中国料理との組み合わせですが、うまくいくことを祈って…早速、テイスティングしていきましょう!
熟成酒『花嵐 純米大吟醸 長期常温熟成 2004酒造年度』について
今回の熟成酒は、滋賀県北西部の高島市マキノ町に位置する吉田酒造(マップの29番)の「花嵐 純米大吟醸 長期常温熟成 2004酒造年度」で、17年ほど熟成したお酒です。 マキノ町は、メタセコイアの並木道やマキノ高原キャンプ場が有名で、吉田酒造の近くでは海津大崎の桜が有名です。
海津大崎の桜は「日本のさくら名所100選」にも選ばれており、春の桜シーズンになると奥琵琶湖の桜を見ようと多くの人で賑わいます。
海津大崎の桜と竹生島
今回の熟成酒の銘柄は、その海津大崎の桜が舞っているのをイメージして名付けられています。この他にも「雪花」「吟花」と言ったように「花」がついた銘柄が多くあります。
また、代表銘柄は「竹生島」という銘柄で、こちらも奥琵琶湖に浮かぶ「竹生島」から名付けられています。地元愛に溢れているのが伝わってきて、ほっこりとした気持ちになる蔵元です。
熟成酒についてのラベル
今回は純米大吟醸の熟成酒となり、熟成酒の中では珍しいタイプかもしれません。お米をよく磨いているため(精米歩合50%)、「味の伸びしろがないかも?」と感じますが、アルコール度数が17度以上18度未満とやや高いので、ポテンシャルは期待できます。
アルコール度数が低いとその分、加水(原酒に水を加える)がされており、お酒の原酒成分が薄くなります。そうすると、熟成したときの伸びしろが小さくなる傾向にありますが、このお酒はそういった心配はなさそうです。
自家熟成を始めようと思っている方は、アルコール度数を目安にしてお酒を選ぶのも簡単で分かりやすくて良いと思います。
花嵐 純米大吟醸 長期常温熟成のテイスティングコメント
※このチャートは熟成酒の味わいのバランスを表しています。
※テイスティングは、ISOグラスで行っています。
常温でのテイスティング
熟成酒の色合い
山吹色。旨味成分が結合したフワフワがあります。
熟成酒の香り
上立ち香(うわだちか)は、マッシュルームなどのキノコ系、メープルシロップ、金木犀などを感じます。
どっしりとしたタイプの香りではなく、花の香りのようにふんわりと立ちます。花嵐という名前がぴったりな香りです。老香(ひねか)をあまり感じないので、ワイングラスで飲んでも問題ないと思います。
熟成酒の味わい
口当たりは、さらりとしたテクスチャーで、ライトな味わいの印象です。基本味を複合的に感じ、バランスの良い味わいだと思います。
飲む日によって、甘味を強く感じたり、酸味を強く感じたりしそうです。味わいの後半でアルコール感を感じ、余韻へと続いていきます。余韻はアルコール感とともに熟成酒のアロマがゆったりと続きます。
熟成酒に合わせたい料理
八角やシナモンのスパイスに合いそうです。八角を使った中国料理と合わせたいですね。
熟成酒「花嵐 純米大吟醸 長期常温熟成」とあわせる料理の考案
長期熟成ということもあり、しっかりとした熟成感があるので、中国料理と合いそうです。特に中国料理でよく使われる八角との相性が良いように思いました。ライトな熟成酒ではなかなか合わせづらい料理にしたいと思い、味がしっかりとしているトンポーローと合わせてみることにしました。
「トンポーロー」を早速作っていきます
トンポーローの材料(2人分)
たまり醤油 ・・・・・・・・・ 大さじ1
サラダ油・・・・・・・・・・・ 適量
水 ・・・・・・・・・・・・・ 1300g
塩 ・・・・・・・・・・・・・ 小さじ1
白葱の青い部分 ・・・・・・・ 1本分
生姜 ・・・・・・・・・・・・ 1/3片
八角 ・・・・・・・・・・・・ 2個
花椒 ・・・・・・・・・・・・ 8粒
(A)紹興酒 ・・・・・・・・・・ 130g
(A)砂糖 ・・・・・・・・・・・ 33g
(A)濃口醤油 ・・・・・・・・・ 40g
(A)オイスターソース・・・・・・ 15g
トンポーローの作り方
①豚バラ肉を5cm角にカットする。
②カットした豚バラ肉は、アク出しをするのと臭みを取るためにたっぷりの水とともに火にかけて一度沸騰させる。ゆで汁は使わないので、この段階でアクは取らなくてもOK。
③水にさらしアクを流して、肉についた汚れなども軽く落として、水気を切っておく。
水にさらすだけで、勝手にアクが流れていきます
④圧力鍋に、水・塩・白葱の青い部分・生姜・八角・花椒を加えて沸騰させる。
⑤豚肉にたまり醤油を塗る。
⑥サラダ油を入れ、豚バラ肉を焦げ目がつくまで全面を焼く。
ちょっと休憩豆知識
日本の豚の角煮には焼く工程はありませんが、中国料理のトンポーローは焼く工程があります。
⑦沸騰した鍋に焼いた豚肉を入れ、圧力鍋の蓋をし、強火にかける。圧がかかったら弱火にして20分加熱する。
⑧20分後、圧が抜けるまでそのまま置いておき、圧が抜ければ蓋を開けて(A)の調味料を加える。再び圧力鍋の蓋をし、強火にかける。圧がかかったら弱火にして20分加熱する。
⑨20分後、圧が抜けるまでそのまま置いておき、圧が抜ければ蓋を開けて、肉が崩れないように注意しながら豚肉を取り出す。
⑩鍋の中の煮汁を濾して、深めのフライパン(中華鍋など)に1000ml分移す。煮詰めて仕上げに水溶き片栗粉でとろみをつける。
⑪器に豚肉を盛り付け、⑩のタレをかけたら完成。
熟成酒とトンポーローのペアリングの感想
思ったとおり八角と非常に良く合いました。通常のレシピだと八角は1個でも良いのですが、今回は八角の風味を多く出したかったので2個にしました。結果、これが正解でした!
豚肉とお酒の相性もよく、特に脂身と良く合いました。赤身と合わせるときは、ソースは少なめのほうが良く合います。今回のソースはとても美味しいのですが、完成されている味わいだったので、お酒の入る余地があまりありませんでした。砂糖を減らして、お酒の入る余地を作るともっと相性が良くなったのかもしれません。でも、総合的に良いペアリングでした!
ペアリング的にも満足でしたが、何よりこのトンポーローは最強に美味しいので、良ければお試しください!
余談
フェリーの中から撮った竹生島
今回のペアリングとはあまり関係のない余談ですが、先日20年振りくらいに竹生島に上陸してきました。長浜からフェリーが出ており、琵琶湖のクルージングが楽しめるので、滋賀に来られる時は是非!