【熟成酒のペアリング】竹泉 純米吟醸 2011BY ×帆立のバターソテー 燻製ソルト
今回で第3回目となる熟成酒のペアリング紹介。第2回目までは滋賀県の熟成酒を紹介してきましたが、今回は兵庫県の「竹泉」の熟成酒と、こちらのお酒に合わせたい料理を考案!
ペアリング料理のレシピも公開しているので、ぜひご自宅でお試しください。
熟成酒について『竹泉 純米吟醸 2011BY 』
竹泉 純米吟醸 2011BY
今回は兵庫県北部の朝来市(あさごし)に位置する「田治米(たじめ)合名会社」の『竹泉』をピックアップ。
どのようなお酒造りをしているかホームページで調べてみると「一粒の米にも無限の力あり」というコンセプトで醸されていました。
熟成酒のこだわり
「田治米」という名前らしい素晴らしいコンセプトに加え、ここの蔵元は更に「一粒の米から美味しさを引出す」という想いで、熟成酒にも力を入れられているようです。熟成させることで美味しさを引き出すために、竹泉のほとんどの日本酒は2年以上熟成させているそうです。
全国的にもかなり珍しい取り組みで、熟成酒に対する強いこだわりを感じます。今回の熟成酒は蔵元直売限定の日本酒で、約9年熟成されたお酒になります。
熟成酒のテイスティングコメント
※このチャートは熟成酒の味わいのバランスを表しています。
常温でのテイスティング
熟成酒の色合い
キラキラと輝くやや淡い山吹色。
熟成酒の香り
香りの主張は弱く、ビスケットのようなロースト香が主体で、わずかにヨード香。穏やかな香りであるものの、アルコールを感じる香り立ち、蒸留酒を連想させられます。アルコール感が苦手な人には少し厳しいかもしれないです。
熟成酒の味わい
第一印象は、アルコール感じるドライな口当たりと喉越し。ベッコウ飴のような甘さとロースト感。わずかに蜂蜜のような甘さを感じ、蒸留酒のようなアルコールのニュアンスを感じます。ハードリカーのようなニュアンスがあるので、喉で感じるアルコール感が好きな方は好みだと思います。全体的にライトな味わいで、ボリューム感は弱いですが、十分に楽しめる味わいです。
60℃の燗でのテイスティング
味わいを引き出すために、陶器の徳利でゆっくり燗をつけてみました。甘味と旨味が膨らんで、味わい深さを感じます。燗にも向いているお酒だと思います。
合わせたい料理
燻製料理や海風を感じるような魚介類
今回の熟成酒に合わせてみたい燻製料理
料理の考案
竹泉は淡い味わいですが、しっかりとしたアルコール感があるので、個性のある料理と合わせることで最終的なバランスが整うと考えました。お酒自体の味わいにボリュームが弱い時は、イメージする完成形までの余白が多いということなので、料理の個性を出せる余地が残されていると思います。
料理の素材について
今回、お酒に少し潮風を連想させるような「ヨード香」を感じたので食材は、魚介系である帆立を使います。また、熟成酒の香りや味わいからウイスキーを連想できたので、料理には燻製の要素を取り入れ、熟成酒と料理を繋げる役割を担ってもらいます。
燻製の取り入れ方
ALMAの燻製塩(ちょっと良いスーパーで600円程度)
燻製の要素を取り入れるにはいくつかの方法がありますが、今回は「ALMA燻製塩」を使います。こちらの燻製塩はしっかりとした燻製香があり、手軽に燻製香を楽しむことでができます。色々な料理に使えて万能なので持っておくと便利かもしれません。
今回の燻製塩はメキシコ産で、アップルツリー燻液を用いて天日燻法で作られているようです。タコスにかけても美味しいようですが、それはまた別の機会に。
燻製塩と一緒に食べたいタコス
帆立のバターソテー 燻製ソルトのレシピ
材料(2人分)
無塩バター ・・・・・・・ 15g
強力粉または薄力粉 ・・・ 適量
塩(帆立下味用) ・・・・ 適量
とうもろこし ・・・・・・ 1/2本
燻製塩 ・・・・・・・・・ 適量
水菜 ・・・・・・・・・・ 適量
作り方
① 帆立はキッチンペーパーで水気をよくふき取り下味の塩を少々ふる。
② とうもろこしは皮付きのまま蒸して、粗熱が取れたら皮を剥き、包丁で削ぐようにして身を切り離す。
③ 帆立の両面に強力粉または薄力粉をつける
④ フライパンにバターを入れて弱火にかける。バターが溶けて泡立ってきたら帆立を入れる。
⑤ 帆立を両面ソテーする。火力は中火にし、こんがりした焼き色をつけるためにあまり動かさないで焼く。帆立をひっくり返す頃に②のとうもろこしも加えてソテーする。
⑥ 器に盛り付け、燻製塩を振りかける。水菜を散らす。
帆立のバターソテー調理風景
ペアリングの感想
狙い通り燻製香により料理と熟成酒が高い次元でペアリングすることができました。熟成酒の味わいの弱さも燻製塩の塩味により引きたれられていました。これはスイカに塩をかける理屈と同じですね。今回のペアリングで熟成酒と燻製の相性の良さを改めて実感することができました。
ちょっとしたアドバイス
燻製塩はたくさん振った方が燻製香を強く感じることができ、相性の良さも高くなります。
余談
燻製醤油
燻製醤油(手軽にスーパーで購入できます)
今回、燻製の要素を取り入れる方法として、燻製醤油を使って料理を作ってみたのですが、こちらはあまり上手くいきませんでした。
醤油は他の香りをマスキングしてしまう効果があるのと、液体であるため燻製の香りが弱いので、料理に使うのには相性が良くなかったです。刺身醤油に使用する場合は向いていると思います。
燻製バター
引用:マリンフードの商品紹介ページ
他に燻製の要素を取り入れる方法として、燻製バターを使うという手段もあります。
今回のレシピでも使いたかったのですが、近場でどこにも売っておらず、ネットでしか買えない状況でしたので使いませんでしたが、入手できる方は使ってみるのも良いかもしれません。(数ヶ所のメーカーからしか販売されていない為、入手難易度が高いです)
スモーキングガン
今回のレシピでは使用しなかったスモーキングガンですが、こちらはお酒にも香りを付けることができます。熟成酒との相性が良く、こんな感じに燻製熟成酒が作れちゃいます。
スモーキングガンで日本酒カクテルを作ろう!
スモーキングガンがあれば、自宅でオシャレな日本酒カクテルが作れるのでオススメです!気になった方は、料理のペアリングと共にぜひチャレンジしてみてください。