「迎え酒」が二日酔いに効果があるって本当?お酒好きだから知っておきたい正しい二日酔いの対処法
お酒は、好きな人にとって飲むと楽しく、ストレスの発散にもなります。
でも、ついつい飲み過ぎてしまい、つらい二日酔いになってしまうことも。
そんな時、二日酔いの解消を求めて「迎え酒」をためす人もいるのではないでしょうか。
よく聞く二日酔いの対処法「迎え酒」には本当に効果があるのでしょうか。また、正しい二日酔いの対処法も合わせて解説します。
迎え酒とは?
飲み過ぎた翌日に、お酒が抜けきっていない状態のまま、二日酔いの不快な症状を治す目的でお酒を飲むことをいいます。
「迎え酒」をおこなうと、二日酔いによる頭痛や吐き気の症状がやわらぐといわれています。
江戸時代には、迎え酒がおこなわれており、書物にも何度も登場する、古くから伝わる風習のようなものです。
迎え酒で二日酔いが治るって本当?
世界各国にも「迎え酒」と同じ意味を持つ言葉が存在します。
「毒を以て毒を制す」ということでしょう。どの国の人も同じように考えるようです。
ですが「迎え酒で二日酔いが治る」ということについては、答えは「NO!」。その理由を詳しく解説します。
二日酔いの原因
二日酔いは、自分の体内で分解できる以上のアルコールを飲み過ぎることが原因です。
二日酔いによる頭痛や吐き気は「アセトアルデヒド」という毒性物質が原因といわれています。
アルコールが肝臓に運ばれると分解されて作られる物質です。
「アセトアルデヒド」はやがて「アセテート」という物質に分解され、汗や尿などと一緒に体の外に排出されます。
「アセトアルデヒド」を分解するためには酵素の働きが重要となりますが、この酵素の働きが強いと二日酔いになりにくく、弱いと二日酔いになりやすい体質となります。
個人のお酒の適量が違うのはこのためですが、自分の適量以上にお酒を飲み過ぎると、肝臓が分解しきれずスムーズに排出されなくなってしまいます。
排出されず体内に残った「アセトアルデヒド」が、二日酔いによる頭痛や吐き気といった症状を引き起こすというわけです。
迎え酒で二日酔いが解消されない理由
お酒にどれくらい酔っているか、というのは血液中のアルコール濃度で測定されます。この濃度が高いほど、酔いが深いといえます。
このような二日酔いの状態でさらにお酒を飲む「迎え酒」をおこなうと、血液中のアルコール濃度が再度高まってしまいます。
そのため脳や感覚も再び麻痺してしまい、一時的に吐き気が治まったように感じるのです。
「迎え酒」によってさらに飲酒量が増え、「アセトアルデヒド」も蓄積されます。
そのため排出の処理も追いつかなくなり二日酔いの症状が続きます。
逆にいえば「アセトアルデヒド」の排出がスムーズにおこなえる量の範囲での飲酒なら二日酔いは起きないということです。
迎え酒は危険!飲まないと調子が上がらないは依存症の黄信号
「迎え酒」をおこなうと、再びあらわれる不快感により二日酔いを長引かせることにもなりかねません。
また「迎え酒」によって「アセトアルデヒド」がどんどん体内に蓄積され、その後の脳や肝臓などへの悪影響も考えられます。
内臓への影響だけではありません。
「迎え酒」を何度もくり返すことにより、アルコールの飲酒総量もだんだんと増えてしまいます。
アルコールの過剰摂取は、常にお酒を飲まずにはいられないアルコール依存症になってしまうリスクも大きくなります。
二日酔いのたびに「迎え酒」をおこなったり、 普段から一杯ひっかけたほうが仕事も生活も調子が良いと感じたりしている人は、アルコール依存症の可能性が高まっているのかもしれません。
お酒が切れると気分が落ち込んだり体の調子が悪くなるという人も、アルコールにより体のコントロールがしにくい状態なので要注意です。
気になるようであれば専門医に相談しましょう。
迎え酒は迷信!正しい二日酔いの解消法は?
「迎え酒」で二日酔いの頭痛や吐き気がやわらぐのは、科学的根拠もなく脳の麻痺による一時的なものです。正しく二日酔いを解消する方法を紹介します。
水分をたくさん摂ろう
二日酔いを解消するためには、水分の摂取が重要です。まず二日酔いになりにくくするために、お酒を飲む前からある程度水分を摂っておきます。
飲酒前に水分を摂ることで、お酒を飲むスピードをゆるやかにし、飲みすぎを自然に抑制できます。
次にお酒を飲んでいる時にも、水やお茶、スープなど、アルコール以外の水分をできるだけ摂るようにしましょう。
お酒を飲む合間や、度数の高いお酒を飲んだ後などに、水や炭酸水、お茶を飲むことで、体の負担を軽くします。
お店を利用した時に提供される「チェイサー」や「やわらぎ水」ともいわれるものです。これは二日酔いの予防にもなります。
アルコールには利尿作用があり、お酒を飲んでいる時は脱水症状になりやすくなります。
体内の水分が不足すると、肝臓に蓄積された二日酔いの原因物質「アセトアルデヒド」の排出が促進されず、体外に出にくくなります。
「アセトアルデヒド」のスムーズな排出のために、飲酒中の水分補給も大切です。
水分を十分に摂っていても、二日酔いになってしまうこともあります。
二日酔いになった朝の時点ですでに脱水症状になっているため、翌日も同じように水分をしっかり摂りましょう。
水やお茶、スポーツドリンクのような経口補水液が最適です。しかし冷たい飲み物を一気に飲むのは避けましょう。
弱った胃腸に負担をかけることになるので、常温で飲むようにします。
味噌汁もおすすめです。水分としてだけでなく、肝臓の働きを高めるアミノ酸や塩分などのミネラルが含まれますので、二日酔いには最適な飲み物です。
味噌汁は塩分量に注意をしながら飲みましょう。
糖やビタミンCなどの栄養を補給する
アルコールをたくさん吸収した肝臓は、血糖値も下げてしまうため低血糖状態を起こします。
このような糖分の補給には、果物の果糖が良いとされています。
果物には「アセトアルデヒド」の分解を促す作用のあるビタミンCが豊富に含まれているものが良いでしょう。
グレープフルーツ、イチゴ、キウイ、季節によっては柿も栄養豊富でおすすめです。
二日酔いで吐き気がひどく固形物が食べられない場合は、リンゴやオレンジなどのフルーツジュースやトマトジュースなどをためしてみましょう。
症状により食べられるようであれば、ご飯やうどんなどの炭水化物に含まれる糖質も効果的です。
安静にする
二日酔いに特効薬というものはありません。まずは安静にしましょう。
二日酔いの原因物質「アセトアルデヒド」は、交感神経という自律神経を刺激し血圧を上げ、心臓に負担をかけます。
アルコールを体内から追い出そうとして激しく運動したり、熱めのお風呂に入るのは、飲酒で下がった血圧が一気に上昇し心臓への負担を増大させます。
このような方法は脳梗塞や、心筋梗塞を引き起こしかねません。入浴する場合はシャワーで軽めに済ませましょう。
また、お酒を飲んだ後の肝臓は、アルコールの分解や代謝作業に追われ激しく消耗しています。
疲れた肝臓を回復させるためにも、代謝に必要な水分や栄養を摂り、睡眠もしっかりとって、体をゆっくり休めましょう。
お酒と長く付き合って行くために迎え酒はやめよう
「迎え酒」をおこなうと、二日酔いを長引かせたり、お酒を飲む総量が増えたりするため、アルコール依存症になりかねません。
「迎え酒」は、体に負担の大きい危険な行為なのでやめましょう。
二日酔いを解消するには、水分・糖分やビタミンCを補給し、体を安静にしてゆっくり過ごします。
正しい二日酔いの解消法をおこないながら、健康に、楽しみながら長くお酒と良い関係を続けて行きましょう。
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SYULIP編集部
日本酒ECサイトを運営しているSYULIP(シュリップ)です。 サケディプロマ、唎酒師、ソムリエ、栄養士などのライターが日本酒の楽しみ方、豆知識、おつまみ記事などを発信しています。