日本酒好きなら知っておきたい!お正月のお酒「お屠蘇」のあれこれ
お正月に飲む縁起の良いお酒「お屠蘇」について、その歴史や風習、作法、作り方を学んで幸先のよい一年を迎えましょう。
お屠蘇(おとそ)ってなに??
まず、屠蘇(とそ)または、お屠蘇(おとそ)とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月に呑む縁起物のお酒であり風習です。
お屠蘇の名前と歴史について
「屠蘇」とは、「蘇」という悪鬼を屠(ほふ)る(体を切り裂く。切り放つという意味)という説や、悪鬼を屠り魂を蘇生させるという説など、若干異なる解釈がいくつかあります。
中国の後漢の時代に華佗が発明した薬酒であり、平安時代初期の嵯峨天皇の時代に日本に伝来したとされています。
お屠蘇は日本酒を飲むだけじゃない
現代ではお屠蘇を飲むというと、単に日本酒を飲むことを指す場合もあります。
しかし本来、お屠蘇とは「屠蘇散(とそさん)」または「屠蘇延命散」と呼ばれる5~10種類の材料を配合したようなものを漬け込んだお酒のこと。
屠蘇散(とそさん)の中身を知ろう
Source of photo : 小学館「デジタル大辞泉」
・白朮(ビャクジュツ):キク科オケラまたはオオバオケラの根
・山椒(サンショウ):サンショウの実
・桔梗(キキョウ):キキョウの根
・肉桂(ニッケイ):ニッケイの樹皮、シナモン
・防風(ボウフウ):セリ科ボウフウの根
・陳皮(チンピ):みかんの皮
お屠蘇の作り方を学ぼう
まず用意するもの
まず用意するものは、お屠蘇のベースとなる日本酒、みりん、屠蘇散です。
みりんと聞くと料理用のものをイメージする人が多いでしょうが、お屠蘇に使うのは料理用ではなく本みりんです。
「本みりん」はもち米・米麹・アルコールを長期間じっくり糖化・熟成して造られ、14%前後のアルコールが含まれています。
市販されている「屠蘇散」
屠蘇散はティーバッグ入りで市販されているので、それを買ってくれば手軽にお屠蘇が作れます。
インターネットで購入することもできますし、年末が近くなってくると近くのスーパーやドラッグストアで見かけることが増えてきます。お屠蘇を一度作ってみると、自分好みの味にアレンジすることもできるので、ぜひ試してみてください。
お屠蘇のレシピ
日本酒とみりんを混ぜ合わせて300mlにします。日本酒とみりんを混ぜ合わせたら、屠蘇散を7~8時間ほど漬け込むだけで完成します。あまり長く漬け込みすぎると濁りや沈殿物が出てくるので注意が必要です。
お正月に飲みたい場合は、大みそかの夜に屠蘇散を入れ、元旦の朝に取り出すのが一般的です。
日本酒の分量が多いと辛口に、みりんが多いと甘口の味に仕上がるので、好みに応じて分量を変えてみてください。ちなみに、日本酒100%、もしくはみりん100%でも問題はありません。
お屠蘇の作法|正式な飲み方は?
お屠蘇で使用する酒器は?
正式には屠蘇器という朱塗りのお銚子と三段重ねの盃でいただきます。ただ、一般的な家庭にはなかなか無いものだと思いますので、ご家庭にあるお正月らしい酒器を選ぶと良いかも知れません。ちなみに、漆器製、陶磁器製、ガラス製など様々な種類があります。
お屠蘇の飲み方
飲むときは家族全員が東の方角を向きます。飲む人の右側から注ぎ、飲む順番は年少者から年長者へと進めていきます。
これは若者の活発な生気を年長者が飲み取るという意味合いと、毒見の名残だと言われています。本来は三段重ねの盃で1杯ずつ3回に分けて飲みますが、略式では1つの盃に3回に分けて入れ、3回に分けて飲み干します。
厄年の人は厄年以外の人に厄を祓う力を分けてもらうため、最後に飲みます。
飲むときには、「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱えます。
地域や各家庭によって作法は様々
一般的な作法や飲み方は上記の通りですが、地域や各家庭により差があります。 飲む順番については、年長者の英知を若人に分け与えるという意味で、年長者から先に飲む場合もあります。また、三段重ねの盃については、一人で三つとも使うのではなく、大を父親、中を母親、小を子供というように分けて使うこともあります。
お屠蘇の豆知識や作法はいかがでしたか?せっかくならお正月に飲む縁起の良いお酒を、歴史や作り方など、正式な作法を知って楽しみたいですね。皆様にとって素敵な一年になりますように。