「生酛造り」の読み方と製法を徹底解説!【日本酒用語解説】

専門的な用語が多い日本酒ですが、その中でも「生酛(きもと)造り」は日本酒に詳しい方でもしっかり理解するのが難しい製法です。お酒に詳しくなければ、そもそも読み方がわからない人も多いかもしれません。

まず抑えておきたいポイントとしては、生酛造りとは「昔ながらの伝統的」な製法で日本酒を造る作業をいいます。

お酒造りといっても様々な工程があるので、全体の工程も学びながら生酛造りについて理解していきましょう。

「生酛造り」の読み方と製法

  • 読み方:きもとづくり
  • 内容:酒母(しゅぼ)を造る工程で、①昔ながらの製法で乳酸を取得し、②「山卸し(やまおろし)」という作業を行う。

読み方と大まかな製法内容は上記の内容ですが、これだけでは理解することが難しいですよね。生酛造りを理解するために、まずは日本酒造りの全体の流れを確認していきましょう。

お酒造りの流れを知ると「生酛造り」を理解しやすい

日本酒の仕込み工程

日本酒造りの流れ

精米(せいまい)

日本酒造り_精米 まずは、お米を精米します。精米前の玄米はぬか層に包まれており、このぬか層のぬかを除去することを精米といいます。精米する割合で日本酒の規格が変わってくるのも抑えておきたいポイントです。

洗米(せんまい)・浸漬(しんせき)

日本酒造り_洗米 精米したお米を洗う作業を洗米といい、その後お米に水を吸わせる浸漬と呼ばれる作業を行います。

蒸し・放冷(ほうれい)

日本酒造り_蒸し 水を切ったお米を蒸していきます。その後、蒸されたお米の温度を下げる工程を放冷といいます。

製麹(せいぎく)

日本酒造り_製麹 蒸米に麹菌を繁殖させる作業です。約2日間かけ製麹の作業を行っていきます。

酒母(しゅぼ)造り

アルコール発酵に必要な酵母を培養します。

ポイント:「酒母」を伝統的な製法で造るのが「生酛造り」です。

仕込み「醪(もろみ)造り」

日本酒造り_仕込み 本格的なアルコール発酵を行う作業を「醪造り」と呼びます。

搾り「上槽(じょうそう)」

アルコール発酵が終了した醪(もろみ)を酒粕と液体に分離する作業です。酒税法ではこの「上槽」と呼ばれる作業を行った液体が「日本酒(清酒)」となります。

ちなみに、酒粕と液体を分離していないお酒は「どぶろく」として販売している酒蔵が一般的です。

酒母造りの伝統的な製法が「生酛造り」

日本酒造りの全体の流れの中で「酒母造り」がありました。

今回のテーマである生酛造りは、下記製法で酒母を造ります。

  • ①昔ながらの製法で乳酸を取得する。
  • ②山卸し(やまおろし)という「酒米をすり潰す」作業をする。

酒母ってなんだろう??

まずは酒母について理解していきましょう。酒母とは酒母用のタンク内に、水、蒸されたお米、麹を投入し、乳酸を取得後、酵母を培養した液体をいいます。

酒母造りに必要な仕込み材料

酒母造り

酒母造りの目的は??

酒母造りの目的は「アルコール発酵に必要な酵母」を培養することです。そして酵母は「酸性に強い」という特性を持っています。逆にその他の微生物は「酸性の環境下では生きられません」。そのために、まずは酒母のタンク内を酸性にしてあげることから酒母造りは始まります。

ポイント:酒母造りは酒母のタンク内を酸性にすることから始まってきます。

生酛造りでは「乳酸」を伝統的な製法で取得

酒母造り

ポイント:酒母造りに必要な仕込み材料のうち「乳酸」をどのように取得するかが「生酛造り」を理解するポイント。

乳酸の取得方法を理解しよう

大きく2つの製法に分けられる乳酸の取得方法について確認していきましょう。

2つの製法|速醸系と生酛系

酒母造り
①液体状の「乳酸」を添加する方法で、「速醸(そくじょう)系酒母」
乳酸菌を育成し、乳酸菌が生み出す「乳酸」を得る方法の「生酛系酒母」。

生酛系酒母は乳酸を昔ながらの製法で取得する製法です。。
そして生酛系酒母は「生酛(きもと)」、「山廃酛(やまはいもと)」があります。

生酛系酒母造り|生酛と山廃酛

生酛と山廃酛の違いは「酒母用の酒米をすり潰す作業」を行っているか否かです。

そしてお米をすり潰す工程を「山卸し(やまおろし)」と呼んでいます。

①生酛(きもと)

生酛造りはお米をすり潰す作業(山卸し)をおこなう製法。昔ながらの伝統的な日本酒造りです。

②山廃酛(やまはいもと)

山卸し(お米をすり潰す作業)を廃止するようになった製法を略し、山廃酛(やまはいもと)と呼ばれるようになりました。山卸しをしませんが生酛造り同様に、酒母の生育には時間を要する製法です。

お米をすり潰す作業はとっても重労働…。酒米や酒造りが進化し、山廃酛を採用する酒蔵が増え、現在では乳酸を添加する製法(速醸系酒母)が主流になっています。

生酛系酒母のお酒の味わい

生酛系の日本酒の味わい 乳酸を添加する「速醸系酒母」に比べ、濃醇な味わいになるといわれる「生酛系酒母」の日本酒。

昔ながらの製法のため、重労働や時間がかかるお酒造りですが、近年ではもう一度「生酛造り」にチャレンジする酒蔵が少しずつ増えてきています。

生酛造りを採用している酒蔵をピックアップ

新政酒造

現状の日本酒はほとんどが「速醸系酒母」を採用していますが、新政酒造は伝統的な「生酛系」酒母を使用し、2015~16年(平成27酒造年度)より、「生酛純米蔵」の宣言をし、生酛造り酒蔵として全国の日本酒ファンを魅了し続けています。

寺田本家

千葉県にある「寺田本家」では、蔵人たちが自社田で収穫した米を原料に、昔ながらの製法「生酛造り」で酒を醸しています。

また、「生酛」ならではの「もと摺り」作業では、蔵人たちが“もと摺り唄”を唄いながら息を合わせて仕込んでいる風景は、伝統や酒造りの文化を継承している数少ない酒蔵の一つです。

仙禽「Nature(ナチュール)」

仙禽のNature(ナチュール)は完全無添加の「超自然派生酛」。酒母を仕込む際に乳酸を添加しないのが生酛造りですが、更に酵母も添加せず、蔵付き酵母で仕込まれるお酒です。

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