カップ酒研究所「愛媛カップ酒特集」
今回のご当地カップ酒特集は、愛媛県です。暖かい気候というイメージだと思いますが、四国山地があるおかげで冬には雪が降り積もりますし、山風も吹きつけるため、酒造りには適した地なんですよ。
東から石鎚山の麓あたりの東予エリアでは淡麗でさっぱりとした味わいのお酒、松山市を中心とした中予エリアでは淡麗ながら旨味がのったお酒、宇和海や瀬戸内海あたりの南予エリアでは飲みごたえのあるお酒…と、地域によって味わいが異なります。面白いですよね!
愛媛県における酒造りの起源は戦国時代ともいわれていて、命がけで戦った人々の疲れを癒す大事な存在になっていたのかもしれません。愛媛県は小さな酒蔵さんが多いです。伝統をしっかりと受け継ぎ、丹精込めて醸されたお酒をじっくりと味わっていきます!
カップ酒それぞれの基本情報
まずは商品について
【石鎚】商品情報
■直径…6.5cm
■高さ…10cm
■内容量…180ml
■アルコール度…16度
■特定名称…純米吟醸酒
■お米…麹米:兵庫県産山田錦21%(精米歩合50%)
掛米:愛媛県産松山三井79%(精米歩合60%)
おなじみの一升瓶と同じデザインのラベルがそのまま採用されています。裏面には日本酒度や使用している酵母などの詳しい情報も記載してありますよ。
【仁喜多津 伊予の薄墨桜】商品情報
■直径…6.5cm
■高さ…9.5cm
■内容量…180ml
■アルコール度…15度
■特定名称…純米酒
■お米…国産米(精米歩合70%)
ラベルは天武天皇が道後温泉に滞在していた時、伊予の西法寺での祈祷により皇后の病気が回復し、その後、薄墨の手紙と桜の木をいただいたというエピソードが元になっているそうです。
酒蔵情報について
石鎚【石鎚酒造】(愛媛県西条市)
創業は1920年(大正9年)。西日本最高峰といわれる石鎚山の近くにある家族経営の酒蔵さんで、蔵の中にある井戸から湧き出る水は石鎚山系の超軟水。そうした仕込み水を使用しているからこそ、口当たりがなめらかですっきりとした酒質になるんですね。
メインに醸しているのは純米吟醸酒や純米酒で、お米の持ち味を最大限に活かせるよう細心の注意を払いながら、丁寧な手作業を重ねていきます。こちらの酒蔵さんでは、日本酒のほか、上槽した時にできる酒粕を使った粕取焼酎も製造しています。手間暇かけた高品質な酒粕に由来する豊かな香りを楽しめるとファンも多いようです。
仁喜多津 伊予の薄墨桜【水口酒造】(愛媛県松山市)
1895年(明治28年)創業。日本最古の温泉である道後温泉本館のほど近くにある酒蔵さんで、その母屋は国登録有形文化財に指定されています。「仁喜多津」とは、かつて万葉集で「熟田津(にきたつ)」と言われた伊予・道後の地に“仁愛なる喜び多き津”という想いを込めたもの。
適度なミネラルを含む仕込み水と、しずく媛や松山三井といった愛媛県産の酒米を主に使用しており、地元密着で道後温泉の発展とともに酒造りをおこなってきました。日本酒だけにとどまらず、地ビールの醸造や化粧水の製造など、新たな挑戦をし続ける街全体の盛り上げ役となっています。
カップ酒それぞれの楽しみ方
石鎚 緑ラベルをそのままで…
カップのフタを開けた瞬間に広がる、ほんのり甘みを感じる穏やかな香り。口当たりはとてもなめらかで、キリッとしたシャープな味わいと奥行きのある苦味があります。すっきりとした酸もあり、きれいでまとまりのあるお酒ですね。
余韻としてふわっと追いかけてくる米の旨味が絶妙です!蔵元さんが言うように「穏やかながら凛とした気品漂う食中酒」で、どんな料理にも寄り添ってくれそうです。
石鎚 緑ラベルと合わせるなら…ギノーのひしお
今回ペアリングで選んだ商品は、新橋にあるアンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」にて見つけてきました!
愛媛県民御用達という、ギノーのひしお。愛媛県が生産量日本一を誇るはだか麦や炒り大豆などをしょうゆに漬け込んだ発酵調味料です。
味噌のようなしょうゆのような…不思議な深み。もろきゅうにして合わせてみましたが、石鎚のすっきりとした味わいが、ひしおの濃厚な味をリセットしてくれるので、おつまみもお酒もどんどん進んでしまいます!
伊予の薄墨桜をそのままで…
芳醇で厚みを感じる香りです。まろやかな口当たりで、ふっくらとした米の旨味がダイレクトに伝わってきます。精米歩合70%というのも関係しているのでしょうか。ラベルのしなやかな印象とは違い、しっかりとお酒としての主張がある飲み応えのある一杯。
ラベルには「冷やしてもぬる燗でもおいしい」とあったので試してみると…大正解!ぬる燗だと、こっくりとした香りがより引き立ち、舌の上で広がる味わいにも幅が出てきます!個人的には常温〜ぬる燗がオススメです♪
伊予の薄墨桜×いわし黒酢南蛮
こちらもアンテナショップで見つけた「いわしの黒酢南蛮」。このいわしも伊予灘で採れたものだそうなので、“伊予つながり”で選んでみました。
噛めば噛むほど魚の旨味が増してくるおつまみなので、まろやかで深みのある伊予の薄墨桜はマッチしますね〜。フライパンかオーブントースターで軽く炙ったいわし黒酢南蛮にマヨネーズをつけつつ、伊予の薄墨桜はぬる燗で…お手軽な飲兵衛セットの完成です(笑)