【熟成酒のペアリング】古酒 大老 ✕ ササミとモモ肉の焼き鳥
今回も熟成酒と料理とのペアリングを提案していきます!
今回は、久しぶりの滋賀酒。実はこのお酒、僕が初めて飲んだ熟成酒になります。6年くらい前の試飲会で飲んだのですが、日本酒ってこういう味もあるんだ!美味しい!と驚いていたのを今でも良く覚えています。今思えばこのお酒で熟成酒が好きになったのかもしれません。
熟成酒『古酒 大老』について
今回の熟成酒は、滋賀県の湖東に位置する多賀酒造の「古酒 大老」です。(下記マップ23番の蔵元です)
滋賀県で大老と言えば、近江彦根藩第15代藩主の井伊直弼のことであり、お酒の箱にも彦根城が描かれています。このお酒、発売当初は10年熟成(おそらく)でリリースされていたのですが、発売から10年が経ち今年で20年熟成となっています。
箱の中には、このお酒の楽しみ方について説明書が入っていました。 とても良い内容なのでぜひ読んでみてください!
熟成酒のテイスティングコメント
※このチャートは熟成酒の味わいのバランスを表しています。
常温でのテイスティング
熟成酒の色合い
長期熟成らしい綺麗な琥珀色。
熟成酒の香り
マッシュルーム、カカオ、ヨード香、松脂、紹興酒、獣臭。
熟成酒の味わい
味わいは甘味主体でミドルボディ。爽やかな柑橘系の風味を感じ、レモンシロップを連想させられます。また、オレンジのピールのような印象も受けます。
甘味主体ではあるものの全体的なバランス、ベタつく印象はなく余韻はそれほど長くはないです。火入れの熟成酒としては、かなり甘く、熟成する前のお酒は相当甘かったのだと思います。また甘味主体でありながら、香りにはちみつ感が無いのが少し以外でした。
60℃の燗でのテイスティング
陶器でゆっくりと燗をつけました。甘味と酸味が際立って全体のバランスが崩れたように思います。このお酒の良さはバランスの良さにあると思うので、あまり温度は上げすぎずに、ぬる燗くらいで飲むのが良いのかと思います。
合わせたい料理
あわせてみたい料理のひとつ「酢豚」
爽やかなタレの焼鳥や酢豚など、爽やかな味わいの料理があうかなと思いました。
料理の考案
複雑な味わいのお酒であるものの、やや軽さもあり味わいのバランスが良いので、料理は比較的さっぱりしたものが良いと思いました。味の濃い料理だったとしても、このお酒に同調するようなものが良いと思い、今回は二種類の焼鳥を作ることにしました。
一つは、さっぱりとササミ肉に葱生姜だれと花椒をかけたもの。もう一つは、もも肉のタレです。焼鳥と言えば炭火焼きですが、自宅でもフライパンで簡単に作ることが出来ます。それでは、早速、作っていきましょう!
「ササミとモモ肉の焼き鳥」レシピ
材料
ささみ肉 ・・・・ 食べたい本数分
塩(下味用)・・・ 適量
花椒 ・・・・・・ 適量
〈葱生姜だれ (作りやすい分量)〉
白葱 ・・・・・・ 1/3本…細かくみじん切りにする
生姜 ・・・・・・ 1かけ…すりおろす
塩 ・・・・・・・ 小さじ1
醤油 ・・・・・・ 小さじ1/2
白胡椒 ・・・・・ 少々
油 ・・・・・・・ 50g
●モモ(たれ)
鶏モモ肉 ・・・・ 食べたい本数分
塩(下味用)・・・ 適量
〈たれ〉(作りやすい分量)
濃口醤油 ・・・・ 50g
みりん ・・・・・ 50g
砂糖 ・・・・・・ 30g
鶏皮 ・・・・・・ 30g
葱の青い部分 ・・ 15g
ささみ(葱生姜だれ花椒風味)の作り方
①鶏ささみは筋を取り除き串に刺す。焼く直前に下味用の塩を振る。
②葱生姜だれの油以外の材料をボウルに入れてよく混ぜる。フライパンに油を入れて火にかけ、油から薄煙が上がってくるまで加熱する。熱い油をボウルに加え、よく混ぜる。
熱い油をかける事で、ネギと生姜の香りを引き出します。
③フライパンに油を入れて熱し、①のささみを入れて、じっくり焼く。香ばしい焼き色がついたら裏返し、裏面も焼く。
④器にささみ串を盛り付け、葱生姜だれを肉の中央にかける。みじん切りにした花椒をふりかける。
モモ(たれ)の作り方
①鶏皮をフライパンでじっくりと焼く。香ばしい焼き色がつき余分な脂を除くため、油をひかないフライパンで焼く。
②鍋に醤油・みりん・葱の青い部分・①の焼いた鶏皮を入れて、液量が半分くらいになるまで約20分かけてじっくり煮詰める。
ポイント:鶏皮を入れることでタレに奥行きが出て美味しくなります。
③鶏肉は適当な大きさに切り、串に刺す。
④フライパンに油を引いて火にかけて温め、③の鶏肉を入れて焼く。香ばしい焼き色がついたら裏返し、裏面も同様に焼く。
⑤肉に8割ほど火が入ったら②のタレを加えて、タレを絡めながら焼く。
⑥器に盛りつけ、フライパンに残ったタレを上からかける。
ペアリングの感想
ささみ(葱生姜だれ花椒風味)とのペアリング
ササミの焼鳥と合わせて見ましたが良く合いました。お酒にレモンやオレンジの柑橘要素があるので、花椒が料理とお酒を繋`げる接点となっていました。
ちょっとしたアドバイス
花椒はミルで挽くよりも、包丁でみじん切りにしたほうがアクセントが生まれて、お酒との相性の良さが高まりました。花椒の刺激を熟成酒の甘さが包んでくれて心地良いペアリングでした。
モモ(たれ)とのペアリング
モモ肉の焼鳥との相性ですが、こちらも良く合いました。タレのメイラード反応と熟成酒のメイラード反応の同調系ペアリングで、王道の手法とも呼べるような組み合わせだったと思います。
ちょっとしたアドバイス
山椒を掛けるともっと良く合いそうでした。
余談
ゆで卵やタルタルソースとも合いそう
このお酒を飲みながらゆで卵を食べていたら凄く相性が良かったので、卵料理とも相性が良いかもしれないです。もしくは、タルタルソースを使った料理との相性が良さそうと感じました。
今回の熟成酒は、程よく個性がありバランスが良いお酒だったので、料理に合わせやすく食中酒として飲んでも色々な料理と合ってくれそうだと感じました。そういう意味では、点(ピンポイント)で合わせることも、面(食卓全体)で合わせることもできるお酒なのかもれません。