冷酒におすすめの日本酒3選!美味しい冷酒の買い方も紹介
日本酒は色んな温度帯で楽しめる珍しいお酒です。
お酒の味わいは温度によって変わりますので、冷酒に向く酒もあれば、お燗に向く酒もあります。その意味では選ぶのが少し難しいお酒でもあります。
この記事では、
- 冷酒に向くお酒の特徴
- 冷酒に向くお酒の実際の銘柄
- 冷酒に向くお酒を自分で選ぶ方法
を紹介します。
冷酒に向いた日本酒の特徴
結論から申し上げると、冷酒に向くのは「華やかな香りの日本酒」や「軽快でなめらかな日本酒」などです。
なぜそういえるかというと、これらの特徴はしっかり冷やすことで最大限に発揮されるものだからです(その詳しい理由については「冷酒に向いた日本酒の詳しい選び方」の項で詳しく説明します)。
ラベル表記でいうと、
- 吟醸酒
- 大吟醸酒
- 純米吟醸酒
- 純米大吟醸酒
- 本醸造酒
- 普通酒
- 生酒
- スパークリング日本酒
キーワードでいうと、
- 「フルーティー」
- 「華やか」
- 「淡麗」
- 「すっきり」
- 「ドライ」
- 「さわやか」
- 「軽やか」
など書かれた日本酒が該当することが多いといえます。
逆に、これらと対局にある「まろやか」「ふくよか」「濃醇」なお酒は、冷やしすぎてしまうとその良さが感じられにくくなってしまうお酒です。
冷酒よりは常温やお燗で飲んだほうがいい日本酒だということになります。
冷酒におすすめの日本酒3選
千古乃岩 純米吟醸(岐阜・千古乃岩酒造)
SYULIPで購入できる180mLサイズの千古乃岩・純吟。
ひとくち飲んで最初に感じるのは、澄み渡った飲み口の中にある”繊細な旨み”。
その洗練された旨みゆえに、旨みを感じながらも透明感を感じることができ、それは職人芸さながらの見事なバランス感覚。
そして最後には、品がよくもキリリとした心地よい後味が軽やかに抜けていきます。
口に含んでから後味が消えていくまでの、一連の日本酒体験の完成度の高さは圧巻。
ささみのような淡白な料理、ゆずや香草などの香り高い料理、アボカドのような油分の多い食べ物など、さまざまな食材と合わせても一級の食中酒として最高の働きをしてくれます。
ぜひ色んな料理と合わせて楽しんでみて欲しいです。
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千古乃岩 純米吟醸ミニサイズ飲み比べセット(SYULIP)
日乃出鶴 純米(茨城・井坂酒造店)
旨味と甘味のバランスが見事。甘すぎず、辛すぎず、後味のドライ感もすべてが絶妙で、水のような爽やかさも感じられます。
食中酒としても、お酒単独でも美味しく飲める、日本酒界きっての優等生です。
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日乃出鶴 純米(SYULIP)
寿月 亀の尾 純米吟醸(福島・寿々乃井酒造店)
日本酒の原料となる酒米は、杜氏が育てた全量自家栽培米の「亀の尾」。そして酒蔵の裏山から湧き出るお水を使用して造られた、風土や歴史を味わえる一本です。
華やかすぎない、心地良い洋梨やメロンのような香りと、みずみずしくジューシーな味わい。
しっかりと冷やし、シンプルで素材を活かした料理と合わせるのがおすすめです。
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寿月 亀の尾 純米吟醸(SYULIP)
冷酒に向いた日本酒の詳しい選び方
冷酒に向いたお酒を自分で選べるようになるためには、温度が味わいにあたえる影響を理解する必要があります。
美味しく日本酒を飲みたいときに、お酒を冷やす狙いとしては、
「香味が爽やか(すっきり)に感じられる」「テクスチャーが引き締まる」などがあります。
一方、冷やすことが裏目に出てしまう例としては「香りが立ちにくくなる」「苦味が突出しやすい」「甘味や旨味が感じにくくなる」などが挙げられます。
もっと詳しくみていくと、利酒師養成のテキスト『日本酒の基』では、日本酒の温度変化による影響を次のような表にまとめています。
温度による香味の変化
冷やす | 温める | |||
デメリット | メリット | メリット | デメリット | |
香りそのものを感じにくくなる | 清涼に感じられる | 香り | ふくよかに感じられる | 清涼感が損なわれる |
硬く感じられる | 引き締まって感じられる | 飲み口 (テクスチャー) |
まろやかに感じられる | 締まりなく感じられる |
甘みそのものを感じにくくなる | 軽やかに感じられる | 甘味 | ふくよかに感じられる | クドく感じられる |
刺激性が増す | 清涼に感じられる(特にリンゴ酸、クエン酸など) | 酸味 | まろやかに感じられる(特に乳酸など) | 清涼感が損なわれる |
硬く感じられる | 引き締まって感じられる | 苦味 | 厚み、ボリューム感が増す | 締りなく感じられる |
刺激性が増す | 引き締まって感じられる | 渋味 | まろやかに感じられる | 締りなく感じられる |
旨味そのものを感じにくくなる | 軽やかに感じられる | 旨味 | ふくよかに感じられる | クドく感じられる |
刺激性が増す | 引き締まって感じられる | アルコール感 | 穏やかに感じられる | アルコール臭が際立つ |
この表で、冷やすことでメリットが得られ、かつ、温めることでデメリットが出てしまう日本酒が、冷酒に向く日本酒だといえます。
そのような日本酒の特徴をピックアップすると、「清涼感」「軽やかさ」「引き締まった飲み口」などがキーワードになってくることがわかります。
つまり、これらの特徴を持つ日本酒が冷酒に向いているということです。
逆に「濃醇な風味」「まろやかさ」「ふくよかさ」などを押し出した日本酒は、冷酒よりも常温や燗酒の方に向く傾向があります。
ラベルで選ぶためには
実際日本酒を選ぶときは、ラベルから判断しないといけないことが多いです。
そのために必要な情報を整理しましょう。
結論からいうと、冷酒に向くのは以下のような表記がある日本酒です。
吟醸酒、大吟醸酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、本醸造酒、普通酒、生酒
なぜそういえるのでしょうか。
SSI(Sake Service Institute)が提唱する香味特性別分類によると、日本酒は次の4つのタイプに分類できます。
①薫酒...華やかな香りの日本酒
②爽酒...軽快でなめらかな日本酒
③醇酒...コクのある日本酒
④熟酒...熟成された日本酒
この中で、SSIが冷酒の温度帯での提供を推奨しているのは、①薫酒(10~15℃)と②爽酒(5~15℃)です。
その理由はやはり前項での結論と一致しており、これらの酒が「清涼感」「軽やかさ」「引き締まった飲み口」が長所の日本酒で、冷酒の温度帯でよさが最大限発揮されるからです。
温度を下げると「香りが立ちにくくなる」のに、香り高い薫酒を冷やしたほうがいいというのは一見矛盾するかのように感じられます。
これは、薫酒に特徴的な吟醸香に関しては揮発性が高く、温度を上げすぎると鼻について飲みにくくなるからです(『日本酒の科学』)。
とはいえ冷やしすぎても今度は香りが感じづらくなるので、下限は10℃までという見解となっているわけです。
香りがあまりなく、「すっきり感」が持ち味の爽酒は5℃まで冷やしても良さが引き出されます。
ただし、どんな日本酒でも5℃を下回ると人の嗅覚・味覚で香味を感じることが困難になるため、これ以上は冷やすことは基本的に推奨されません
(凍結酒やみぞれ酒などの特殊なお酒は除きます)
ただ、薫酒、爽酒などの表記は、ラベルに記載されていることはまだ少ないです。
従来のラベル表記をもとに判断する場合、傾向としては
薫酒...吟醸酒、大吟醸酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒
爽酒...本醸造酒、普通酒、生酒
という関係になっていることが多いです。よって、これらの情報を手がかりに探すのも1つの手です。
もちろん、前述した「清涼感」「軽やかさ」「引き締まった飲み口」などのキーワードがラベルに記載されているかどうかも判断材料になります。