日本酒初心者向け!4タイプの日本酒とスパークリング日本酒をテイスティング!
日本酒についてお酒の先生に教えてもらう特集2回目!前回はラベルを見てそれぞれの特徴を学びました。今回は待ちに待った日本酒のティスティング!お酒が飲めるぞー!!
前回の記事はこちらから!日本酒の基礎知識を勉強しました!
>>関連記事:日本酒初心者向け!簡単な知識とラベルから日本酒の味わいを学びましょう!
岸本:アサノさん!今回もよろしくおねがいします!
日本酒の先生!アサノノリエさん
アサノノリエさん
にほんのもの応援社「和altz(わるつ)」代表。ソムリエとして活躍しお酒に関する様々な資格を取得。女性、外国人、若者、日本酒ビギナーをターゲットに日本酒文化を伝える活動をしている。
アサノさん:よろしくね!今回は日本酒4種類をテイスティングして、香りや味わいの違いを知っていきましょう! この4タイプの分類は「唎酒師」という日本酒の資格試験でも学ぶことなのでちょっと難しいかもだけど、わかりやすいから頑張ってついてきてね!
日本酒は4つのタイプに分類するとわかりやすい!
テイスティングする4種類の日本酒
日本酒の銘柄一覧 ※左側から順番に
- 麒麟山酒造 麒麟山 超辛口
- 出羽桜酒造 出羽燦々誕生記念
- 大七酒造 純米生もと
- 藤居本家 旭日 猪鹿鳥 GIBIER
4つのタイプの日本酒
日本酒の香りや味わいには、原材料、仕込み方法、熟成期間、地域性や生産者の考えなど様々な要因が影響します。まずは、日本酒が持つ香りの要素と味わいの要素を組み合わせ、日本酒を4つのタイプに分類しましょう。
アサノさん:それぞれのタイプの特性は後ほど説明しますが、香りの要素と味わいの要素を組み合わせると大きくこの4つのタイプに分けられることを覚えましょう。
岸本:わかりました!薫酒(くんしゅ)、爽酒(そうしゅ)、醇酒(じゅんしゅ)、熟酒(じゅくしゅ)ですね!先生!どれからテイスティングしましょうか?
「爽酒(そうしゅ)」と「薫酒(くんしゅ)」の飲み比べ
アサノさん:まずは「麒麟山 超辛口」からテイスティングしていきましょう!
「爽酒」麒麟山 超辛口
麒麟山は新潟が産地の普通酒。新潟の日本酒と言えば、上越新幹線開通後やバブル期ごろに「越乃寒梅」「久保田」「八海山」などのプレミアムな新潟の地酒ブームが起こりました。代名詞と言える淡麗辛口な味わいが人気になり、今ではスーパーやコンビニで新潟のお酒を見かける機会も多くなりました。
アサノさん:麒麟山はいわゆる淡麗辛口のスッキリしたお酒ですが、まずは香りから確かめてみてください。
岸本:・・・お酒って感じの香りですね(笑)
アサノさん:お酒だからね(笑) それでは次に「出羽桜 出羽燦々誕生記念」の香りを嗅いでみて!
「薫酒」出羽桜 出羽燦々誕生記念
岸本:・・・あ!全然違う!これがフルーティって言われるやつですね!
爽酒と薫酒の香りの違いを体験!
アサノさん:そう!違いがわかった?日本酒は香りの高さ、味の濃さで4分類に分けられるけど、麒麟山と出羽桜はどちらが香り高かったですか?
岸本:断然!出羽桜ですね!ちょっと離れて嗅いでもフルーティーな香りが分かります!
アサノさん:明らかにそうだよね!さっき話した4分類「薫酒」「爽酒」「熟酒」「醇酒」の中で、この2本はそれぞれどれに分類されると思いますか?
岸本:(教科書を見ながら) 出羽桜は薫酒、麒麟山は爽酒だと思います!
アサノさん:正解!出羽桜も麒麟山も色は近いけど、こんなに香りが違うのは前回話した造りの違いが関係します。酵母の違いもあるけど、出羽桜のような吟醸造りはお米を贅沢にいっぱい磨いてから低い温度でじっくり発酵させます。吟醸造りは香りも華やかなのが特徴だったね!
「爽酒」と「薫酒」の香りの違いを理解した後は、味わいの違いをくらべていきたいと思います。
爽酒と薫酒のテイスティング!
岸本・・うん、全然違いますね。出羽桜の方が断然甘いですね。麒麟山はスッキリ爽やか!麒麟山は「超辛口」とラベルに書いていますが辛口という表現はどういう意味ですか?
アサノさん:日本酒は基本的に酸度が低くて甘みのあるお酒ですが、麒麟山のようなスッキリしてキレを感じるお酒を辛口と呼ぶことが多いです。飲んだ後の余韻はどうだった?
岸本:麒麟山は飲んだ後ピリッと感じます。
アサノさん:ピリッときたのは分かりやすく言うと、アルコール感だったり酸味を感じたり余韻に苦みを感じるから。この酸味や苦みはとってもポジティブで、酸味が豊かだとよりスッキリして油っぽい料理や酸味が欲しくなるような料理ともいいし、ちょっとしたほろ苦みなんて春先に山菜を使った日本料理との相性は抜群!出羽桜の余韻はどうですか?
岸本:甘いシロップのような感じが口に残りました。 出羽桜→麒麟山の順番で飲むと麒麟山の味がわからなくなります、、
アサノさん:出羽桜の方が香りが華やかでフルーティーだからさらにそう感じるかな?甘やかな香りと共に普通酒の麒麟山よりお米の旨味が舌に残るからそういった印象を持つんです。 違う種類の日本酒を続けて飲むと、味がわからなくなるので間にお水を飲んでリセットするようにしましょう!これを「和らぎ水」と言います。
和らぎ水は適切な水分量を摂取する目的もあります。二日酔いの原因となる脱水症状を避けるためにも日本酒を飲みながら「和らぎ水」を飲むようにしましょう。
日本酒と料理を楽しむ「ペアリング」について
「ペアリング」とは「相性の良いお酒と料理を組み合わせる」ことをいいます。香りや味わいの共通点を探して日本酒をより美味しく感じることができますよ。
麒麟山「爽酒」と一緒に食べたいおつまみ
お塩やわさびで食べるお刺身 薬味との相性も◎
出羽桜「薫酒」と一緒に食べたいおつまみ
オリーブオイルを使った白身魚のカルパッチョ、マリネなどの洋風の前菜、フルーツを使ったスイーツとも相性が良いです。
「醇酒(じゅんしゅ)」を飲んでみよう!
アサノさん:さきほどは香りの高さの違いを学んだので、次は味わいの濃さの違いを体験しましょう! 「大七 純米生もと」、こちらのラベルからどのような情報がわかりますか?
「醇酒」大七 純米生もと
岸本:えーっと・・・。この日本酒は純米だから、醸造アルコールは入ってない!精米歩合は69%(70%以下)なので純米酒ですね!
ラベルの情報がわかってきました!
アサノさん:ここで補足。精米歩合69%とはお米を31%削り取ったあとの白米の割合ってことね。
精米歩合:玄米から削り取ったあとの白米の割合 例:精米歩合70%とは、玄米の70%部分のお米を使用
精白率:玄米から削り取った部分の割合 例:精白率30%とは玄米を30%削ったお米(=精米歩合70%)
爽/酒と醇酒を飲み比べ!味わいの濃さを体験!
アサノさん:「爽酒」と「醇酒」の味わいの濃さの違いを感じてもらいたいので、「麒麟山」と「大七 純米生もと」を飲み比べてみましょう
大七 純米生もとをテイスティング!
岸本:・・大七生もとの方がチーズみたいな香りが残りますね。飲んだ余韻は今までとは違う旨味とコクがある!爽酒と醇酒でこんなに味わいが違うんですね!
アサノさん:生酛は「昔ながらの伝統的な造り方」と覚えてください。ちょっと複雑な造り方。それぞれの酒蔵に住みついているいろんな菌と手作業によって独特な風味が生まれます。さっきの2つよりかなり旨味を感じるし、複雑味もあるね。醇酒はお燗にすると炊き立てのお米やチーズみたいなふくよかなニュアンスも楽しめますよ。
岸本:なるほど・・・。ほかの生酛造りのお酒はどんな香りや味わいか気になります!あと相変わらず麒麟山はめっちゃ美味しいです!
大七 純米生もと「醇酒」と一緒に食べたいおつまみ
チーズは醇酒のお燗と合わせると、より口どけが良くなりふくよかな印象を感じますよ。
「熟酒(じゅくしゅ)」を飲んでみよう!
爽酒、薫酒、醇酒と3つのタイプの日本酒を飲み比べてきましたが、いよいよラストの日本酒「熟酒」タイプをテイスティング。
岸本:それでは、あと1本明らかに色が違うお酒をいってみましょう!これが熟酒ですね?紅茶みたいな色してる、、(笑)
「熟酒」旭日 猪鹿鳥 GIBIER
アサノさん:最後の1本は「旭日 猪鹿鳥GIBIER」。まずは香りから確かめていきましょう。 岸本さん、耳が赤くなってるけど大丈夫?(笑)
岸本:テイスティング全部飲んでるから酔ってきましたね(笑) ・・香りは香ばしい?良い香りだけど人を選びそうな香りです!味わいはほろ苦さとスモーキー感を感じます。
アサノさん:猪鹿鳥の名前の通り、味の濃いジビエ料理に合うお酒ですね! ちょっと中国の紹興酒っぽいかも!いろんなスパイスやナッツ、椎茸、カラメル、ドライフルーツ、などなどの香りに、余韻にほろ苦さ、スモーキーな感じがあるのが特徴かな。何で色が茶色なのかわかりますか?
岸本:たしかに紹興酒っぽいですね! なんで茶色になるんだろう?熟成が関係してそう・・・
日本酒の熟成について
熟成酒の色合いの変化
日本酒は旨味成分が豊かでアミノ酸や糖分が含まれています。熟成するとアミノ酸と糖分が結合してだんだんと茶色に変化していきます。玉ねぎや砂糖を加熱すると茶色くなる現象と同じです。
元々糖分が多い、あまりお米を磨いていない旨味があるお酒ほど熟成すると茶色くなります。あとは保管温度が高い方がよりお酒の色が変化しやすいです。逆に-5℃とかかなり低い温度で高精米の吟醸酒などを同じ年月長期熟成しても色は薄くて全然違いますよ。
旭日 猪鹿鳥GIBIER「熟酒」と一緒に食べたいおつまみ
ジビエ料理 紹興酒みたいなので中華料理とも◎
番外編!日本酒スペークリングを飲んでみよう!
永井酒造「MIZUBASHO PURE」
岸本:めちゃくちゃおしゃれ!日本酒にスパークリングがあるんですね!
アサノさん:シャンパンのような乾杯に適した日本酒を目指して誕生したのが「MIZUBASHO PURE」なんです。厳格な基準で製法を定めた「awa酒」に認定されていて、瓶内二次発酵で生まれた炭酸ガスを有しています。
瓶内二次発酵とは、火入れを行なわない「生酒」の状態で瓶詰めし、瓶の中でさらに発酵を進め炭酸ガスを発生させて閉じ込める製法です。
木本硝子の「awa酒専用」グラス「IMMERSION」で飲んでみよう!
awa酒専用グラス「IMMERSION」
フランスの著名ソムリエ、フィリップ・ジャメス氏が監修した「awa酒専用グラス」。ひとつひとつ手作りしているため、江戸ガラスの伝統技術を駆使しても、国内でこのグラスを作れる職人はかなり限られているそうです。
awa酒を注ぐと美しく泡が立つのが特徴的。グラスの中に香りがたっぷりと広がり、唇にあたる部分は薄く仕上がっているため、繊細な味わいを楽しめます。
アサノさん:それでは香りから嗅いでいきましょう。awa酒専用グラスだけあって香りの特徴を感じやすいわよ。
岸本:・・あー、これはすごい。 香りもすごく高いし、口の中に入れた時に泡が広がる!泡が細かい。
アサノさん:細かい泡が口の中でフワーっと広がるのが瓶内二次発酵の特徴!これをクリーミーとかシルキーな泡って表現しています。awa酒は瓶内二次発酵後澱引きして透明になっているからグラスの中で一筋の泡がスーッと立ち上がるのよ!
おしゃれなラベルだけでなく、とっても飲みやすい味わいなので女性や若者に勧めたい日本酒です。海外の方を日本にお迎えした時に国産のお米で作ったawa酒で歓迎したいですね。
岸本:若者、女性、海外の方に自信を持っておすすめできる一本!awa酒がもっと浸透したらいいですね!
4つのタイプからお気に入りを買いに行こう!
アサノさん:岸本さん、今回4種類飲んでもらいましたが、どれが1番好きでしたか?
岸本:僕は麒麟山が好きでした!スッキリ飲みやすくて長いお付き合いができそうです!
アサノさん:淡麗系の爽酒ね!酒屋で店員さんに「淡麗系の辛口スッキリ」と言えば近いお酒を色々紹介してくれるわよ!
岸本:純米や吟醸の名前がつく方が美味しいのかなってイメージがありましたが、好みによるんですね!
アサノさん:飲むシーンに合わせて選択することが大事よ。ペアリングも様々な種類があるから少しずつ学んでいきましょう!
岸本:そうですよね!次回は色んなタイプに合わせたおつまみを一緒に味わってみたいですね!
お気に入りの「爽酒」を買いに行こう!
三ノ輪の「鈴木酒販」
お気に入りになった爽酒を求めて近くの酒屋さんへ!三ノ輪駅そばにある鈴木酒販さんにお邪魔しました。
お店に入ってびっくり!よく考えたら酒屋さんってあまり入ったことなかったな、、思っていた倍のお酒の種類です。ラベルの見方は学んだけど、実際見るとなんだかよく分かんない、、そういう時はすぐ店員さんにヘルプ!そして勧められたお酒がこちら。
肥前蔵心 特別純米 超辛口
初めてちゃんと買った日本酒!可愛いねえ。飲むのが勿体ない、、なんてことはない!早速いただきます!
美味い。求めていた味だ。このスッキリ感とキレが日本酒の中で辛口系であることに納得。日本酒を好きになるきっかけとしては最高のスタートでした!
次回は、夏に味わう夏酒とアサノさん特製の簡単おつまみのペアリングを紹介!お楽しみに!
最後に「アサノ先生情報」
Profile
岸本 祐介
お酒をこよなく愛する三十路間近の徳島人。好きな飲み方は「安い居酒屋でグダグダ飲む」、好きな言葉は「おあいそ」。特集企画を通して日本酒勉強中!