ソムリエとは?ワインだけじゃない?日本酒ソムリエについても解説
お酒好きな人であれば、ソムリエという職業を一度は聞いたことがあるでしょう。何となく「ワインを選んでくれる仕事?」という認識だと思います。ソムリエとはどの様な仕事をしているのでしょうか?ソムリエ資格や協会など、詳しく解説します。
ソムリエ(sommelier)とは?
ソムリエは、資格がなくても「ソムリエ」と名乗り働くことができます。しかし資格を持って仕事をする事がマストとなってます。
ホテル、レストラン等の飲食店にて、お客がワインを選ぶ際にアドバイスを行ったり、注文される料理やお客の好みに合わせ、ワインを提供する事が主な仕事です。
他にも、ワインの仕入れ、保管、熟成、販売、ワインに合わせた料理の提供など幅広く行います。
また、ワイン教室の講師やWebライター、飲食コンサル、ワインを扱う輸入会社などでも活躍しています。
ソムリエは提供内容によって以下の3つに分けられています。
- 給仕長を兼任する「メートルドテルソムリエ」
- オーナーとしてレストランを経営する「レストラーテルソムリエ」
- 酒庫を担当する「カビストソムリエ」
提供する場やシチュエーションが違っても、それぞれプロフェッショナルとして第一線で活躍しています。
ソムリエを認定する資格団体は2つ
日本ソムリエ協会(JSA)
1969年発足。JSAソムリエ協会は、ソムリエ等の育成のため、飲料と食に関する資格認定事業、教材作成・販売に関する事業などを行っています。
公式サイト:https://www.sommelier.jp/
JSAソムリエ認定資格受験には、実務経験が3年以上あり試験当日もその実務に携わっている事が条件になります。
発行している資格は以下の4つです。
- ワインソムリエ・エクセレンス
- ワインソムリエ
- ワインエキスパート・エクセレンス
- ワインエキスパート
より専門的で高難度の資格として「ワインソムリエ・エクセレンス」「ワインエキスパート・エクセレンス」資格を発行しています。
「ワインエキスパート」は、職務経験が3年未満の人や、会員でない一般愛好家向けに発行されています。
ここに所属する会員ソムリエは、酒類・飲料を提供する飲食サービスや、仕入れ・流通・販売・教育機関・製造に関わる業務、また、アルコール飲料のコンサルタント等に従事しています。
全日本ソムリエ連盟(ANSA)
1997年発足。ANSAソムリエ(ソムリエ・ワインコーディネーター)認定資格を発行しています。
公式サイト:https://ansa-w.com/
受験の条件は、20歳以上であれば実務経験が不問となっています。
初心者でも資格取得しやすく、JASソムリエ認定資格を受験するに当たっての予行練習として受験する人もいます。
受験時にソムリエ資格か、ワインコーディネーター資格かを選ぶ事ができます。
ソムリエになるために必要なスキルとは?
高い接客スキルと知識
ソムリエになるには、ワインの知識や興味がある事は勿論ですが、礼儀の正しさ、気配り、おもてなしなどのホスピタリティも必要です。
会話力、傾聴力をつけ、お客にワインを通じて心からその場を楽しんでいただくことが大事になります。
知識として、ワインの歴史・産地・製造過程、美味しく飲むための温度管理、熟成具合、在庫管理や流通過程の把握も必要です。
ソムリエとして飲食店に勤務する際は、ワインとペアリングされる料理への深い知識、提供されるワインの味わいに対するテイスティング力、美しい所作でのサービス提供が求められます。
他にもワインの知識だけでなく、お客に会話を楽しんでいただくために、幅広い知識や情報の収集も行います。
ソムリエは海外からのお客に接する機会も多く、こうした場で豊富な知識や接客スキルを活かすために英会話などの語学力も必要になります。
こうしたサービスをスムーズに行うためにも普段から料理への探求や、知識の向上に努めることが求められます。
「マスターソムリエ」について
マスターソムリエとは、日本ソムリエ協会認定のワインソムリエ・エクセレンスを所持し、かつソムリエとしての勤務歴が20年以上あり、協会の役員としての功績が顕著な者が選考委員会で認定される名誉称号です。2018年時点で56名の認定者がいます。
日本酒ソムリエは存在する?
「日本酒ソムリエ」という資格は存在しませんが、日本酒について、ソムリエと同じように日本酒の知識やスキルが必要な資格があります。たとえば以下のものが現在ある資格です。
- 唎酒師(ききさけし)
- SAKEDIPLOMA(サケディプロマ)
- 酒匠(さかしょう)
- 国際唎酒師
- 日本酒ナビゲーター
- 日本酒プロフェッショナル
- 日本酒学講師
これらはソムリエと同じように、日本酒に関する知識やスキル、マナーなどを兼ね備えたプロとして勤めることができる資格です。
日本酒関連の3大資格
日本酒関連の資格は上記にいくつか挙げました。その内の代表的な3つの資格を解説します。
唎酒師(ききさけし)
1991年発足の日本酒サービス研究会・酒匠研究連合会、通称SSIが発行している認定資格です。「唎酒師」は「日本酒のソムリエ」といえる資格です。
日本酒を美味しく飲んでもらうために、お客の好みに合わせて販売したり、飲食店にて提供される料理とのペアリング、季節に合った酒器などのコーディネートを行います。
また、テイスティング力を活かし、蔵元などから買い付けを行なったり、日本酒の価値発信のためインフルエンサーとして活躍することもあります。
酒類全般の基礎知識から飲食サービスに関わるおもてなしの心、酒器や日本酒、料理のペアリングを提案する能力を備え、お客様視点をもって日本酒を楽しんでもらう事を目指します。
SAKE DIPLOMA(正式名称J.S.A. SAKE DIPLOMA認定試験)
「SAKE DIPLOMA(サケディプロマ)」は日本ソムリエ協会(JSA)が発行する認定資格です。
SAKE DIPLOMAは、世界的に需要が高まっている和食と、それに伴い提供される事の多い日本酒や焼酎の知識、サービス技術を海外に発信することを目的の一つとしています。
日本の食文化のさらなる普及を目指すために作られた、比較的難易度の高いプロ志向の資格です。
日本酒の歴史的背景や製造法の種類、生産地の特徴や料理との相性、テイスティングなど、優れたサービスを提供するために必要な知識と技量が問われます。
酒匠(さかしょう)
日本酒サービス研究会・酒匠研究連合会SSIの発行する日本酒・焼酎に関する資格です。
「唎酒師」「焼酎唎酒師」の上位資格となります。
日本酒・焼酎のテイスティング能力を専門的に掘り下げ、「唎酒師」「焼酎唎酒師」で得た知識やスキルを土台とし、さらに高めて得られる資格です。
日本酒と焼酎への深い知識と高度なテイスティング力で、お客へ提供される料理とのマッチングやアドバイスをおこなったり、好みの商品を選定し提供します。
その豊富な知識とテイスティング力で、飲食店だけでなく、日本酒の売込みの企画力を活かし、酒販店や酒類卸売り業者のバイヤーとして活躍しています。
資格を取得するメリットとは?
日本酒の楽しみ方が広がる
日本酒に関連する資格の取得は、趣味として、あるいは仕事に活かすなど、理由はさまざま。資格の取得は、知識だけでなくお酒の席での振る舞いの所作も上達します。
しかし一番のメリットは、日本酒に関する豊富な知識を得ることができるという事です。
日本酒の美味しい飲み方や楽しみ方、また日本酒のルーツ、製造法などの知識を多く持つという事は、自身の人生も豊かになり、お酒の場でより楽しい時間を過ごすことができるでしょう。
日本酒の世界で働ける可能性
日本酒関係の資格を取得した後は、お酒を提供する飲食店などで働き、お客へ日本酒を楽しめるようアドバイスをおこなうことができます。また、酒販店や酒類卸売のバイヤーなどでは、そのテイスティング力を活かすこともできます。
他にも、広報やライターとなり、メディアや記事を作成して宣伝する事で、日本酒の魅力を伝えたり、その知識を料理教室や講演会に活かせる可能性も広がるでしょう。
ソムリエになることはその世界を深く知ること(まとめ)
日本酒関連の資格は、取得することでより人生を豊かにすることができるでしょう。分野が多岐に渡り、難しいだけに、取得後の充実もひとしお。お酒好きならチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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SYULIP編集部
日本酒ECサイトを運営しているSYULIP(シュリップ)です。 サケディプロマ、唎酒師、ソムリエ、栄養士などのライターが日本酒の楽しみ方、豆知識、おつまみ記事などを発信しています。