カップ酒研究所「高知カップ酒特集」
今回のご当地カップ酒特集は高知県。紀貫之が記した『土佐日記』には、土佐の人々がいかにお酒好きで豪快な飲みっぷりだったかが描かれていたりします。高知といえばかつおが有名ですが、そのかつおの藁焼きにも合うような辛口タイプのお酒が多いなか、華やかな香りを生み出す酵母の開発などにも力を入れている県なのです。
今回ご紹介する2つの酒蔵さんは歩いて10分もかからない距離にあるのですが、醸しているお酒の味わいは全く違います。日本酒の奥深さを感じてみましょう!
カップ酒それぞれの基本情報
まずは商品について
【土佐鶴】商品情報
■直径…5.5cm
■高さ…10.5cm
■内容量…180ml
■アルコール度…15度
■特定名称…純米酒
■お米…国産米(精米歩合68%)
維新の賢候 山内容堂(15代土佐藩主)は酒をこよなく愛し「酔って候」の殿様としても知られています…だそうです!
【南】商品情報
■直径…6.5cm
■高さ…10cm
■内容量…180ml
■アルコール度…17度
■特定名称…純米吟醸酒
■お米…国産米
淡い紫色のラベルに大きな文字で「南」とだけ書かれた素朴なデザイン。遠くから見ても分かりやすい!ポップなデザインのカップ酒がたくさん並ぶなか、逆に目立つ1本ですね。
酒蔵情報について
土佐鶴【土佐鶴酒造】(高知県安芸郡)
1773年(安永2年)創業。辛口な味わいの中にも澄んだ旨味があり、“酔い心地がよい”のが特徴です。手間のかかる甑(こしき)でお米を蒸したり、求めるお酒をつくりあげるために酵母との相性を考えて麹の造りを調整したりと、徹底的にこだわります。
仕込み水は酒造蔵の近くを流れる清流・安田川の伏流水のほか、太平洋からの海洋深層水も使用。王道の日本酒はもちろん、宇宙育ちの高知県産酵母を使った世界初の純米吟醸酒「夢追い酒 土佐宇宙酒」なるものも!
南【南酒造場】(高知県安芸郡)
1869年(明治2年)創業。大量のお酒を造るのではなく、味や質を何よりも大事にする少量生産の酒蔵さんで、その9割は純米酒です。
地元で多く流通している「玉の井」のほか、1998年には新ブランド「南」が誕生。首都圏への進出という狙いもあり、蔵元自ら東京のイベントに足を運んで酒販店やお客さんと交流しながら完成させました。”家名に恥じない酒を造る”という熱い想いが込められており、今ではすっかり定番となりました。
【住所】高知県安芸郡安田町安田1875
カップ酒それぞれの楽しみ方
土佐鶴をそのままで…
ふくよかな香りがふわ〜っと漂います。口当たりとしては滑らかで、丸みのある米の旨味の中に、ピリッとした酸が効いてきて、その味わいの変化がとても楽しいです!どちらかというと少し辛口寄りのタイプです。
酒蔵さんおすすめの飲み方は45〜50℃のお燗。純米酒ならではのコクが、より際立ったように感じられました。さらに辛さも鮮明になって、飲みごたえもアップ!冬はすき焼きなどにも合いそうですね。個人的には常温でちびちび飲むのも好きな味わいです。
土佐鶴と合わせるなら…姫かつおスティック
今回は、有楽町にあるアンテナショップ「まるごと高知」にて見つけてきました。その名の通り、袋を開けてそのまま丸かじりできるかつおです!私が選んだのは、しょうゆ味とピリ辛味。ほかにも塩レモンやにんにくなど、種類も豊富!
土佐鶴は味わいがしっかりしているので、今回のおつまみのような濃い味付けの料理と一緒に飲んでも負けることなく、むしろ相乗効果で美味しくなります!
南をそのままで…
カップを開けた時の香りはそんなに強くないものの、洋梨のようなフルーティーで華やかな吟醸香がありました。お米の旨味をしっかり感じられる芳醇な味わいで、少し甘めな印象ですね。ただ、甘さの中にもキリッとした辛さがあって、じんわりとした酸と甘みが余韻として心地よく残ってくれます。
アルコール度数は17度と少し高めなので、炭酸水で割って楽しむのもアリだと思いますよ。甘さと辛さの絶妙なバランスをぜひ楽しんでいただきたいです!
南×和ハーブシロップ
こちらも「まるごと高知」にて発見!高知県香北町の森の青しそとゆずのシロップで、お酒だけでなく炭酸で割ったり、お菓子に入れても美味しいという優れもの。シロップと日本酒を1:3の割合で混ぜるだけの簡単レシピです。
青しその清涼感、ゆずの甘酸っぱさ、そして南が持つ甘みのある旨さ…この3つが見事にマッチします!お好みで、細かく刻んだ青しそやゆずの皮を仕上げにふりかけても美味しいですよ〜♪