映画「おくりびと」と山形・庄内地方の日本酒「初孫」
第81回アカデミー外国語映画賞を受賞し、最近では中国で異例の大ヒットを記録している映画「おくりびと」。公開された当時はとても話題になりましたね。山形県を舞台に納棺士という職業を通して、死と向き合う姿に感動を覚えた人も多いのではないでしょうか。
さて今回の特集「映画と日本酒の思い出」は映画「おくりびと」の舞台となった山形県・庄内地方の日本酒「初孫」を紹介します。お家で一人しっぽりと自分と向き合う映画。自分自身の内なる声に耳を傾けながら、お家飲みを楽しんでみてはいかがでしょうか。
映画「おくりびと」
ひょんなことから遺体を棺に納める“納棺師”となった男が、仕事を通して触れた人間模様や上司の影響を受けながら成長していく姿を描いた感動作です。
映画の予告編とあらすじ
映画のあらすじ
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。
面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。
おくりびとの舞台となった「山形県庄内地方」
庄内地方は、山形県の北西部に位置し、山と海に囲まれた広大な平野が広がる自然豊かな地域です。四季折々の食材が豊富で、お米をはじめ、だだちゃ豆、刈屋ナシ、砂丘メロン、イチゴなどが庄内を代表する農産物。
全国有数の酒処
山形県には50数社の酒蔵がありますが、中でも庄内地方はお酒造りが盛んな地域。米どころの庄内平野や豊かな雪解け水など、お酒造りに適した自然環境に恵まれています。
山形県酒造組合のHP掲載情報によると、庄内地方では18社の酒蔵があり、それぞれ個性豊かなお酒を楽しむことができます。
山形・庄内の日本酒「初孫」
映画公開当時に発売された「清酒 おくりびと」。山形県にある東北銘醸が販売した限定日本酒は、収益を今後の日本映画の振興と、庄内への映画の誘致活動の支援に充てられました。
発売から10年以上が経過し入手することが難しかったため、今回は酒蔵から発売されいる「初孫」のいなほ生詰純米吟醸を購入しました!
日本酒「初孫」を飲んでみよう!
まずはお酒の香りから楽しんでいきたいと思います。公式サイトで「おすすめの飲み方はワイングラスで」と紹介されていたのがうなづける「爽やかな香り」が特徴的です。
味わいは、お酒の新鮮さも感じられますが、一定期間貯蔵されてから出荷される「生詰め」のため、お酒の旨さやコクも楽しめました。これから冬本番ですので、あっさりしたお鍋と一緒に食べたら美味しそう! 原料となるお米は山形県産の出羽燦々100%。伝統的なお酒の仕込み方法「生酛造り」で造られた日本酒です。
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生詰めって?
「生詰め」は貯蔵する前に一度だけ火入れをするタイプの日本酒です。出荷前の2回目の火入れは行われないため、「生の状態で詰める」=「生詰め」というのが表現の由来です。
生詰め酒の多くは、冬〜春にしぼったお酒を火入れし、秋口まで約半年間、貯蔵・熟成させます。秋のお酒として定着している「ひやおろし」「秋あがり」も生詰め酒の一種です。
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GI 山形について
全国で初めて県単位として指定を受けた地理的表示制度「GI山形」。
GI=地理的表示とは各地域の「産地名」の適切な使用を促す制度です。「GI山形」は、国内米と県内で採取された水を原料とし、県内で製造、貯蔵、容器詰めを行っている日本酒が該当されます。
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「おくりびと」が気になるならこちらもおすすめ
おくりびとが気になる方へ山形県を舞台にしたおすすめの映画2選を紹介します。どちらも山形にゆかりのある映画です。
蝉しぐれ
山形県庄内地方出身の藤沢周平作の長編時代小説を、市川染五郎主演で映画化した時代劇映画。景色の美しさを鑑賞しながら、日本らしい四季の移ろいをゆっくりと味わえる作品。とにかく美しい映画です。
おもひでぽろぽろ
東京でひとり暮らしをしている27歳の会社員・タエ子。農業に興味を持っている彼女は、休暇を利用し、農家を営む義兄がいる山形へと向かいます。寝台列車で揺れる中、彼女は田舎がないことで寂しい思いをした小学5年生の自分を思い出し始めます。
見る人に懐かしさを感じさせる『おもひでぽろぽろ』。山形のお酒を飲みながら楽しんでみてはいかがでしょうか。