にごり酒とは?種類や選び方、おすすめの飲み方を紹介
日本酒好きな人も多いにごり酒。にごり酒の分類や製造工程、飲み方などを解説します。はじめてでも、飲みやすく扱いやすいにごり酒からチャレンジしてみましょう。
にごり酒とは?
にごり酒の定義
にごり酒とは、白く濁った日本酒のこと。日本酒を造る行程で、もろみを搾り日本酒と酒粕に分けられる時に作られます。
濾す時に目の細かい布ではなく、あえて粗目の布で濾したものは原料が混ざり、澄んでいない白濁した清酒が残りますが、この状態を「にごり酒」と呼んでいます。もろみの成分が豊富に残っているお酒です。
にごり酒の味わい
あえて粗く絞って残した澱(おり)には、原料の米の旨味が濃縮されています。
濁りが強いほど甘味が強く、味が濃いものです。火入れをしていないにごり酒は発泡しているものもあり、シュワッとした微炭酸を味わえるのが、火入れしないにごり酒の面白さでしょう。
にごり酒・どぶろく・甘酒の違い
白濁しとろりとした見た目は、どれも似たような見た目となり、単純に見分けるのは難しいかもしれません。
その中でもにごり酒は「清酒」と同じ行程で造られており、分類上は同じものといえます。どぶろくや甘酒はこのような行程に違いがあり、明確に違う分類とされています。
どぶろくは、もろみを原酒と酒粕に分ける「上槽(じょうそう)」という行程をおこなわずに造られています。
清酒は、酒税法では工程が定められており、その中でもろみを濾す行程が必須となっています。
ですがどぶろくはこれを行わないため、味わいが日本酒に似ていたとしても、酒税法上は清酒ではなく「その他醸造酒」という扱いとなっています。
▼こちらの記事でどぶろくについて詳しく解説しています。
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甘酒と呼ばれるものは2種類あります。
酒粕から作る「酒粕甘酒」と、米麹から作る「米麹甘酒」が販売されています。
造る工程からどちらもお酒ではなく「清涼飲料水」という扱いになっていますが、酒粕が原料となる甘酒は、アルコールが1%未満で含まれています。
米麹が原料の甘酒は、アルコールが含まれないものとなっています。子供や妊娠中の場合、運転する場合はこちらを選べば体に影響なく飲むことができます。
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日本酒を造る方法は、法令で定められています。醸造したお酒を「日本酒」や「清酒」と名乗るには、さまざまな決められた行程をおこなわなければなりません。
その行程によって、純米大吟醸や純米酒などが分類されています。そのたくさんの工程の中で、目の細かい布を使用して濾し、清酒と酒粕に分けられます。
しかし、あえて混ざるように目の粗い布で絞ると、原料が混在したにごり酒ができあがります。
原料の残りかすである「澱(おり)」を多く残した状態をあえて作っているのです。純米吟醸酒や純米酒など、さまざまな分類でにごり酒が造られています。
濾し方で混ざり具合を調整でき、好みの濃さや混ざり加減にすることができます。濃さによって以下のような呼び方がつけられています。
にごり酒の種類
おり酒・おりがらみ
どちらも同じものを指すもの。おり酒は原料の混ざりが強く、澱(おり)が多く酸味が強いのが特徴です。
テイストは濃くとろみがあります。米の旨味が濃厚で、薄められても香りや味が残ることから、割りもので割って飲む飲み方に向いています。
ささにごり
「ささ」とは「細」と書き、にごりが控えめで少ないという意味を指します。ささにごりは、すっきりした味わいでクセがあまりありません。にごり酒を割らずにそのまま飲みたい時、初めて飲む時のにごり酒に向いています。
うすにごり
「ささにごり」よりもさらに薄い造り方のもの。透明に近く、さらさらしています。口当たりがやわらかくクセがないので、誰にでも飲みやすいのが特徴です。
活性にごり
火入れせずに瓶詰したにごり酒を指し「活性原酒」とも呼ばれています。瓶詰めする前に加熱殺菌していないので、お酒は発酵され続け、微発泡となっています。シュワっとした味わいを楽しめるにごり酒です。
にごり酒の選び方
製法で選ぶ
にごり酒を造る行程で火入れをおこなわずに瓶詰めされたものを「活性原酒」といいます。
酵母菌が残っているため発酵機能が働き続け、二次発酵し炭酸のような味わいになるのです。清酒にはない味わいを楽しめる一方で、加熱殺菌されていないために変質しやすく、火入れしている日本酒に比べ保存期間が短いです。
一般的な清酒に比べデリケートな状態といえます。酵母菌がどんどん発酵するため、飲むタイミングで味わいが変わるのを楽しむと良いでしょう。
火入れをおこなうものもあります。こちらは加熱殺菌されているので、発泡感はありません。濃厚な味わいになり、炭酸にはならないのが特徴です。状態が安定しているので長期保存ができ、ゆっくり何度も同じ風味を味わうことができます。
この2種類はどちらにも味わい深さや面白さがありますので、その時の好みや飲むスピードで選ぶとよいでしょう。
アルコール度数で選ぶ
日本酒は法令により、アルコール度数が22%と定められています。これはにごり酒であっても、清酒と同じ扱いとなっています。
にごり酒は製造方法も清酒と変わらないため、一般的な日本酒と同じように、アルコール度数は15%程度。アルコール度数が高めの20%程度のものもありますが、普段お酒を選ぶように、飲み方や好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
白濁の濃淡で選ぶ
澱(おり)の残り具合によって、にごりの度合いも変わります。澱(おり)が多いものは原料が多く混ざっています。
酸味が強く、まろやかさも強い状態です。少しクセがあるともいえますが、これを好む人も多く、見た目の濃度で選ぶのも面白いでしょう。
にごり酒を味わう、おすすめの飲み方
瓶で販売されているにごり酒は「澄んだ上澄み部分」と「白くにごって沈殿した下層」に分かれているものがあります。
また、発泡性のものも同じように販売されています。楽しみ方も工夫次第です。
澱を混ぜ合わせて飲む
ゆっくり瓶を振って上層と下層を混ぜて飲んでみましょう。もし発泡性のにごり酒であれば、勢いよく振ると炭酸ジュースと同じように噴き出すことがあるので注意が必要です。
分離していたにごりが絡まると、クリーミーなまろやかさとなり、独特の味わいが楽しめます。混ざり具合も調整してみると個性が出てきます。
澱と上澄みを別々で飲む
澄んだ上澄みをクリアな状態で楽しみ、次に濁ったまろやかなクリーミーさを味わうという、違った味わいを2回楽しむことができます。あえて別に飲んでみることで、飲み比べとして楽しめるでしょう。
アレンジして楽しむ
にごり酒は、ぬるめやお燗をつけるよりも、冷やした状態か常温がおすすめ。さっぱりした味わいで飲む方法を紹介します。
ロックグラスに氷を入れて、にごり酒を冷やして味わう方法です。ライムやレモンを搾ってさらにさっぱり感を楽しむこともできます。また、炭酸で割ってサワーを作っても美味しくいただけます。さっぱり感と爽やかな香りを楽しむアレンジを好みで作ってみましょう。
また、にごり酒のまろやかさを楽しめるのは、ヨーグルトと一対一で割る方法。ヨーグルト系のカクテルのようになり、クリーミーで飲みやすくアレンジできます。他にも好きなジュースで割って個性のある飲み方を毎日楽しめます。お気に入りの一杯を探して、さまざまな味を試してみましょう。
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にごり酒を試して楽しもう(まとめ)
にごり酒というととっつきにくく難しい印象があるかもしれませんが、実はアレンジのしやすい楽しいお酒の一つです。
カクテルのように自由に割ったり混ぜたりしながら、あなたのお好みの割合を探してみてはいかがでしょうか。
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SYULIP編集部
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