【熟成酒のペアリング】不老泉 参年熟成 × 鱈のアーモンド揚げ

日本酒の熟成酒。日本酒を飲み始めた頃は熟成酒という概念すら無かったですが、ある時、日本酒の熟成酒に出会い、その味わいの魅力に惹かれました。

熟成酒というと「クセのある酒」「マニアックな酒」など、物好きが好んで飲む日本酒のように扱われる傾向にありますが、実際には様々な味わいがあり、また、食中酒としても高いポテンシャルを誇っています。そんな熟成酒に合いそうな料理を考案、実際にペアリングをし、おすすめのレシピをご紹介します。

熟成酒について

不老泉 山廃仕込 特別純米 参年熟成 今回、料理とのペアリングを考える熟成酒は、滋賀県高島市に位置する上原酒造の銘柄「不老泉 山廃仕込 特別純米 参年熟成」。(マップの32番の蔵元) 滋賀県の酒蔵MAP 引用:滋賀県酒造組合ホームページ(https://shiga-sake.net/)

こちらの蔵元の参年熟成の銘柄は、赤ラベル(原酒・山廃)と白ラベル(原酒・速醸)の2種類のラインナップがあり、今回のお酒は赤ラベルの原酒に加水を行ったもの。

山廃と速醸の違いって何!?と思われた方もいると思います。少し簡単に説明します。 でも、その前に酒母について知る必要があるので、まずはこちらを見てください。

日本酒の酒母について

日本酒の作り方Tシャツ えっ・・・!? Tシャツ???って思われた方、ごめんなさい。私の持っている冨田酒造のTシャツです。日本酒の造り方の工程が書いてあり、真ん中に酒母という表記があります。

酒母とは酵母(パン作りで言うイースト菌のことです)を大量に培養した液体のことで、発酵を健全に進めるために発酵のスターターとして使われます。

この酵母がアルコールと二酸化炭素を生成してくれることでお酒になります。

酒母造りの技法とは??

この酒母造りは技法による違いで、生酛系酒母(生酛、山廃酛など)、速醸系酒母(速醸酛など)に分けられます。これらの違いはすごく簡単に言うと、乳酸を添加するかしないか。

山卸(酛摺り)とは原料をペースト状にすり潰す作業のことを言います。 山廃・生酛の説明

酵母も添加されていない日本酒

今回のお酒は、山廃酛になるので乳酸を添加していないタイプの日本酒。また、今回の日本酒は乳酸だけでなく酵母も添加されていません。「???」と思われるかもしれませんが、蔵付きの酵母による酒母造りが行われており、全国でもかなり珍しい乳酸および酵母ともに無添加の山廃です。いわゆる無添加山廃です。

少し余談が長くなりましたが、早速、テイスティングを行って、合わせる料理を考えていきたいと思います。

熟成酒のテイスティングコメント

熟成酒のテイスティング ※このチャートはこのお酒の味わいのバランスを示しています。

常温でのテイスティング

熟成酒の色合い

色調は、ごく淡いイエロー。

熟成酒の香り

上立ち香は、蜂蜜、カラメル、メープルシロップ、花梨、パイナップル、デーツ。甘酸っぱさのある香りで、香りの主張は弱くも強くもないです。

熟成酒の味わい

味わいは、さらりとした口当たりで甘味主体です。豊かな甘味や旨味、酸味、苦味を感じます。旨口タイプの日本酒ですが、後半に、苦味とアルコール感を感じ、度数の割にはアルコール感を強く感じます。

アルコール感が残るためキレを感じ、余韻はやや長め。熟成酒としては非常に若いのと、加水されているためライトな味わいに感じます。ただ、山廃としての複雑性のある味わいは感じます。

60℃の燗でのテイスティング

ボディがライトなので味を引き出す為に、ゆっくりと温度を上げました。花梨や蜂蜜の香りが立ってきて、甘さをより感じるようになります。後半から苦味を感じ、余韻でしっかりとアルコールを感じます。喉越しはかなりドライ。

合わせたい料理

アーモンドの香りや油脂感と相性が良さそうなので、アーモンドを使った料理と合わせたいと思います。また、キレのある熟成酒のため動物性脂の旨味も取り入れたいです。

料理の考案

合わせる料理を考える時に、料理とお酒の味わいが似たものを合わせたり、料理とお酒を余韻で合わせたり等、色々な切り口がありますが、今回はお酒で料理の脂を切っていく方向性でペアリングを考えていきたいと思います。

個人的には、脂をお酒で流すという合わせ方は消極的と言うか、ややネガティブな印象を感じるので、普段はあまり考えないですが、今回はお酒にしっかりと旨味があるため、脂の旨味とお酒の旨味を合わせつつ、切っていくイメージで、ポジティブに合わせてみたいと思います。

料理の素材について

料理の素材は脂の旨味が欲しいので、鱈を使うことにします。あまり素材が主張しすぎるとお酒が負けてしまうと思うので、味わいが淡白な白身魚にしました。

気になる調理法

調理法は、旨味を閉じ込めるために揚げることにし、香りや食感を加えるため熟成酒に合うアーモンドを使ってお酒との繋がりを強くしていきます。また、アーモンドは鱈との相性も良いので、料理としてもよくまとまってくれるはずです。 ということで、「鱈のアーモンド揚げ」を早速、作っていきます!

鱈のアーモンド揚げのレシピ

鱈のアーモンド揚げ

材料

鱈の切り身 ・・・・・・ 2切れ
アーモンドスライス ・・ 40g
全卵 ・・・・・・・・・ 1個
強力粉 ・・・・・・・・ 大さじ2
塩 ・・・・・・・・・・ 適量
白胡椒 ・・・・・・・・ 適量
【新玉ねぎのタルタルソース】
新玉ねぎ ・・・・・・・ 25g
ゆでたまご ・・・・・・ 1個
マヨネーズ ・・・・・・ 大1.5
レモン果汁 ・・・・・・ 小1
塩 ・・・・・・・・・・ 適量
胡椒 ・・・・・・・・・ 適量

作り方

① 鱈の切り身は食べやすい大きさに切る。キッチンペーパーで鱈の水気をよく拭き取っておく。

② 新玉ねぎのタルタルソースを作る。
1、卵を10分茹でて茹で卵を作り、殻を剥く。
2、新玉ねぎは細かくみじん切りにする。新玉ねぎは辛味が少ないので水にはさらさない。
3、茹で卵はみじん切りにする。
4、マヨネーズとレモン果汁を混ぜて、そこにみじん切りにした新玉ねぎと茹で卵を加えて混ぜ合わせる。
5、塩・胡椒で味を整える。

③ 鱈に塩・白胡椒をし、下味をつける。

④ 鱈の両面に強力粉をまぶし、溶き卵にくぐらせる。アーモンドスライスの上にのせ、両面に付ける。

⑤ 170℃に熱した油に入れ、揚げる。

ペアリングの感想

狙い通り鱈の脂の旨味とお酒の旨味や甘さと良く合いました。ドンピシャで合うという感じではなくマイルドに緩やかに合うという感じです。

料理自体も凄く美味しくて、ついついお酒を口に運んでしまいます。アーモンドも揚げることにより香ばしさを感じるようになり、香りとも合わせることができました。

ちょっとしたアドバイス

今回、タルタルソースを作ってみましたが、熟成酒と合わせた時に、アーモンドの良さが消えてしまいます。そのためタルタルソース無しで合わせたほうが良かったです。ただ、料理にはタルタルソースはよく合います。美味しいです。

今回の熟成酒は、じっくりと飲むというよりも、カジュアルに料理と合わせて飲むのがおすすめです。例えば、バーでスポーツ観戦をしながら、フィッシュアンドチップスを食べているときに合わせるなど、そんなイメージの熟成酒です。

余談

鯛のアーモンドソテー

鱈のアーモンドソテー 今回、鱈のアーモンド揚げを作る前に、鱈のアーモンドソテーも作ってみました。こちらの料理とも合わせてみたのですが、アーモンド感が弱かったのと、脂感が足りなかったので、揚げにしてみました。

揚げることで、旨味の脂を衣で閉じ込める事ができます。またアーモンドの香ばしさをより感じる事ができ、揚げた方が熟成酒と合うと思います。

アレンジ料理

ココナッツ また、アレンジとして、お酒にパイナップル感があったので、トロピカル繋がりで、アーモンドの代わりにココナッツを衣にして揚げてみました。

ココナッツのお菓子ぽっいところが、お酒に良く合っていて、非常に美味しかったです。あたらめて熟成酒の懐の深さを感じました。

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